日本キリスト教協議会(NCC)平和・核問題委員会は、16日発生した新潟県中越沖地震で想定外の揺れに見舞われ、変圧器から出火するなどの被害が出た柏崎刈羽原発の問題を巡り、「地震による原発被害の恐ろしさが、改めて現実のものとして迫ってきた」とし、同原発事故の全容の調査と情報公開、他の原発の安全点検などを求めたうえで、国内の原発廃止など「原子力に依存しない社会」を求める声明(20日付け)を23日、同協議会の公式サイトで発表した。
声明は、安部首相、原子力委員会の東邦夫委員長、原子力安全・保安院の薦田康久院長宛に出されたもので、柏崎刈羽原発や他原発の調査、国内の原発廃止に加えて、六ヶ所村核燃料再処理施設の試験運転の中止、高速増殖炉「もんじゅ」の再稼動計画の中止を合わせ、5つの要求を挙げている。
同委は要求する第一の理由として、今回の地震で柏崎刈羽原発1号機に設置された地震計が650ガルの揺れを観測し、設計当初に地震の揺れとして想定していた273ガルを2倍以上上回ったことを挙げ、「柏崎刈羽原発だけではなく、日本の全ての原発の地震に対する安全性が根底から崩れた事を意味する」と主張。また世界的に見ても、特に日本の原発が地震地帯に集中して建設されていることを指摘し、その危険性を訴えた。
同原発を巡っては、経済産業省が新設する審議会の委員長に内定している班目(まだらめ)春樹・東大教授(原子力社会工学)が25日、同原子力発電所の運転再開時期について、6号機の大型クレーンの破損などで、「少なくとも一年はかかる」との見通しを明らかにしている。