イランで死刑宣告を受け刑務所内に拘束されている福音主義キリスト教牧師ユセフ・ナダルカニ氏(34)の解放を求めて世界各国のメディアが継続的な報道を続け、迫害下にある牧師への祈り手が世界中に広がっている。
未だ拘束中で死刑を待つ身柄のままであるナダルカニ氏は、キリスト教支援団体PTM(『現在の真実』ミニストリー)を通して、自身の解放のために祈り続ける世界の支援者たちに向けて書簡を送った。
書簡の中で、ナダルカニ氏は自身の現在置かれている状況や、精神面において神に対する信仰がますます深くなっていることを明かした。また米フロリダ州牧師のテリー・ジョーンズ氏が自身の解放のためにイスラム教の聖典コーランを焼却した事件に対する見解も明らかにした。
ナダルカニ氏は2009年10月に子どもの通うイスラム教国の学校で、イスラム教を信じる教えを受けるのが必須となっていることに抗議したことを受け、逮捕されていた。
逮捕後、ナダルカニ氏はイスラム教徒に福音を伝え、イスラム教の信仰から退かせる冒とく罪を問われるようになり、2012年2月にはイラン高裁によって死刑判決を受けていることが法と正義のための米センター(ACLJ)が受けた通知により明らかになった。
つい最近には、ナダルカニ氏の弁護士であるモハマド・アリ氏もイラン裁判所から「治安を乱し、イラン政権に対抗する内容のプロパガンダを広め、イラン国内で禁止されている書物を自宅に所有している」件で懲役9年の実刑判決を受けた。
モハマド・アリ氏はイラン国内でナダルカニ氏の弁護を行う数少ない人物の一人で、アリ氏が逮捕されることでナダルカニ氏の状況を法的に弁護する機会が極端に弱小化する懸念されている。
ナダルカニ氏の一件は、イランが人権を濫用しており、宗教活動の自由を与えていないことを世界各国のメディアを通して広く認知させることになった。
米フロリダ州牧師のテリー・ジョーンズ氏はイスラム教の聖典コーランを焼却するとメディアを通して恫喝することで、ナダルカニ氏の一件を通してイスラム教国イランに抗議する活動を行っていた。ジョーンズ氏がコーランを焼却することで、東南アジア、中東イスラム教国で大きな暴動が生じていた。つい最近行ったコーラン焼却の一件では目立った騒ぎは伝えられていない。
書簡の中で、ナダルカニ氏はテリー牧師のコーラン焼却の件について、また自身が解放されることについて神への永遠の信仰をもって待ち続けていることを伝えた。
以下がナダルカニ氏がPTMに送付した書簡の全文である。
キリストにあるしもべであり、若き兄弟であるユセフ・ナダルカニからすべての私の現在置かれている状況を懸念されておられる皆さまへ
―まず、最愛の兄弟姉妹の皆さま方に、私が至って霊的にも肉的にも健康な状態でいることをお伝えしたいと思います。最近私の置かれている状況に対して少し違ったアプローチで解放を訴えておられる方々がいらっしゃるのを受け、日々私の信仰をどのように表していくべきかのテストを受けているような気がします。神に対する深い信仰を表明するのが難しい日々の中で、神の命令から私がこれまで学んできたことによって最善の道を歩もうと努力してきました。
すべての最愛の皆さまが、私の拘束中の長い期間の間、私が肉にとどまっている間、私を覚えていて下さる必要があります。しかし私の運命はすべて神に委ねております。 私は政治的な人間でもなく、政治的な勢力に関しては無知です。そしてさまざまな異なる文化の間で共通に存在する多くの事柄がある一方、異なる事柄も多くあることを知っています。そしてある文化は強い批判を受け、その批判が次第に厳しくなり、長期化する問題となって行くことを知っています。 日に日に世界のメディアを通して、私の現在置かれている状況がますます多くの人々に伝えられていることを知っています。そしてさまざまな教会や有名な政治家の方々、人権活動家の方々が私の解放のために働いておられます。 このようなご活動が、自由と人権尊重、今後の解放までの明るい道のりのためにとても助けになっていると強く信じています。 すべての自由と人権尊重のためにご活動されている皆様に知っていただきたいことがあります。問題や緊張関係を生じさせる他者を侮辱する活動については、私は同意していません。そのような活動は最終的には人権が尊重できないものであるという言い訳を正当化し、宗教の自由も制限されるべきであるという主張を強めることになるでしょう。そのことは、私自身の置かれている状況からも明らかに感じられます。 私は上に立つ権威に従い、謙遜であろうとしています。神が私の国の公職にある方々にある権威を認められているのですから、彼らがこの国を神の御心に沿って統治することができるために祈りたいと思います。そのようにする中で神の御言葉に従っていく道を知るのだと思っています。私と同じ状況にある全ての人々と共にいたいと思います。私と同じ状況に置かれている彼らは不平を言わず、神の力が彼らの生活の中に働くようにし、またその権利を自身のために用いています。私も同じようにすることで、あらゆる可能性にかけながら、最後の判決を待っています。 ですから、すべての最愛の皆さまへ、神の御言葉の通りの祈りを私のためにしていただくようにお願いします。最後にはただちに自由が私の身になされることでしょう。私の国の権威のある人たちが、彼らの自由意思によって、彼らの法に従って解放してくださることを願っています。 神も恵みと憐れみが皆さま方の上に永遠にありますように、アーメン。
ユセフ・ナダルカニ