イランで拘束されている福音主義者の牧師ユセフ・ナダルカニ氏は、イラン当局がキリスト教の信仰を同氏が否定することを条件に解放を約束したものの、信仰を否定することを受け入れなかった。キリスト教迫害監視団体世界キリスト連帯(CSW)が13日伝えた。
ナダルカニ氏は、イランラシュにある400の堅強な家庭教会運動を進める指導者で、2009年10月にイスラム法による「校内で非イスラム教徒もコーランを読まなければいけない」という命令に反対したため逮捕され、その後イラン当局によって拘束されていた。
イラン当局はナダルカニ氏の解放条件としてイスラム教が信奉するムハンマドが神から遣わされた預言者であることを同氏が公的に認めることと引き換えに解放を約束して
いた。
法と正義のための米センター(ACLJ)国際法務ディレクターのティファニー・バランズ氏は、米クリスチャンポスト(CP)の取材に対し「ユセフ牧師に対し、ムハンマドを神の使者であることを認めさせようとする試みは、イラン国憲法にも国際法のさまざまな原則に照らし合わせても、法律の濫用に該当します。ユセフ牧師がイラン法に基づいて平和的に解放され、キリスト教の信仰を保ち続けられるようにさせるというよりも、イラン当局はまたもや国際共同体の信用をなくすような道を歩もうとしているようです」と伝えている。
ナダルカニ氏のキリスト教の信仰が理由で拘束されている件について、イラン当局は国際社会から多様な批判を受けている。クリントン米国務長官と欧州連合(EU)は、ナダルカニ氏の解放を要求し、イラン当局を非難している。
昨年12月中旬には、イラン当局がナダルカニ氏の判決を言い渡すのを少なくとも4カ月延長させると発表していた。当時バランズ氏は「もしイラン当局が今後国際社会から尊厳が得られるように努めたいのであれば、同国法を順守し、無条件にユセフ牧師を解放すべきです」と述べていた。ナダルカニ氏はイラン刑務所内で判決を待ち続け、同氏の妻子も解放の望みを捨てずに待ち続けている状態にある。