ナツメヤシは北アフリカ、もしくはペルシャ湾沿岸が原産で、エジプトなどで古代から栽培されていたとされる。日本ではシュロを除くヤシ科の植物が一般的ではなかったため、聖書に登場するナツメヤシを「棕櫚(しゅろ)」と翻訳してきた。
「デーツ」と呼ばれる果実は100グラム当たり約250キロカロリーという高い栄養価を持ち、乾燥させれば長期の保存も利く。そのため砂漠の遊牧民たちにとっては貴重な食料として親しまれてきた。聖書にも、モーセに連れられて荒野(砂漠)をさまよい歩いたイスラエルの民がたどり着いたエリムという場所には12の泉と70本のナツメヤシがあったとの記述がある。
現在でも北アフリカや中東では主要食品の一つとなっているデーツはミネラルが豊富で、鉄分、カルシウム、カリウム、リンなどを多く含有しているため、貧血、疲労、不眠の解消に加え、滋養強壮、精神安定、糖尿病予防、老化防止にも効果を発揮する。
聖書においてナツメヤシは優美と勝利、祝福の象徴とされている。詩篇にはこうある。「正しい者は、なつめやしの木のように栄え・・・主の家に植えられ、私たちの大庭で栄えます。彼らは年老いてもなお、実を実らせ、みずみずしく、おい茂っていましょう」(詩篇92:12〜14)。私たちもナツメヤシのように主の庭に力強く立って豊かな実を実らせたい。