教祖の性的暴行などで社会問題となっている宗教団体「摂理」の韓国人女性幹部(44)が、入管難民法に違反しているとの疑いで、18日から20日にかけて千葉県警により教団関連施設の初の家宅捜索が行われたが、その際に複数の携帯電話やパソコンなど190点あまりが押収されていたことが24日、判明した。
家宅捜索は、千葉県中央区の教団関連施設や、同法違反幇助(ほうじょ)の疑いをもたれている横浜市磯子区の解散した印刷会社の元社長(73)宅などを含めて10ヶ所で行われた。押収された情報を元に、勧誘や資金集めなど教団の実態や、逃亡中の女性幹部や他の教団関係者の足取りを調べる。
女性幹部は、横浜市の解散した印刷会社にデザイン企画担当者として雇用されたように装い、「技術」の在留資格を不正に取得し、千葉市内を拠点として資格外の布教活動をしていた疑いがもたれている。
この女性幹部は教団の日本での最高責任者の1人とされており、教祖の鄭明析(チョン・ミョンソク、61)の側近で、教祖による日本人女性への性的暴行を手助けした疑いももたれている。
女性幹部と、その在留資格の不正取得を手助けしたとされている横浜市の印刷会社元社長の2人は、昨年8月に被害者の脱会などを支援する弁護士によって告発されているが、女性幹部は告発される直前の昨年7月に日本から韓国へ出国し、現在逃亡中。
摂理は鄭明析を教祖とし、1980頃に設立された「愛天教会」がその前身となる。鄭明析はかつて「統一協会」にいたことがあり、その教えや活動の類似点が指摘されている。99年に韓国のテレビ放送で元信者が鄭明析による性的暴行を告発し、それをきっかけに教団の実態が次第に明らかになってきた。現在、鄭明析は強姦容疑などで韓国当局から国際手配を受けている。
日本国内では2千数百人の信者がいるとされており、複数の女性信者が教祖から性的暴行を受けたとして社会問題となっている。