「真実の『愛』とは何だろう。今までどんなに考えても出てこなかったその答えが、この『塩狩峠』にあった。自己犠牲である。常に相手を思いやって、自分が少し我慢して親切にする。命を懸けて、誰かを守る。」
全国学校図書館協議会と毎日新聞が主催する「第55回青少年読書感想文全国コンクール」の中学・自由部門で、三浦綾子の『塩狩峠』を読んだ高知市立一宮中学3年の門脇愛さんの作品が、高知県審査最優秀作品に選ばれた。毎日新聞が13日、受賞作品を公表した。
「私はクリスチャンではないし、特別宗教をやっているわけでもない」という門脇さんだが、塩狩峠の主人公・信夫が、暴走した列車の乗客を助けるため一人犠牲になった話を読んで、「信夫を動かした原動力は、神への深い信仰心だった」と語る。また、キリスト教を軽蔑していた信夫が信仰を持つようになるまでのいきさつを読んで、「キリスト教の教えの素晴らしさに、敬虔で美しい信者の心に深く胸を打たれた」と感想を語った。
科学が発展した現代においても、「人間にとって本当に必要なものは目には見えないと思う。私たちの心を豊かにしてくれるのは信仰かもしれない。自分よりとてつもなく偉大な存在、すなわち神を認め、敬うことで謙虚な気持ちになれるからだ」と言う。
全国の受賞作品は、2月に毎日新聞紙面上などで発表される。