【CJC=東京】バチカン機関紙ロッセルバトレ・ロマノは8月13日、銀行に厳格な守秘義務を課すスイスの銀行に、脱税者の情報提供を求めていた米国とスイス政府が「倫理的金融」契約を締結したことを歓迎した。
同紙は、契約を「税金逃れへの戦いと、管理強化された財務への方向へ大きな進展」と評価している。教皇ベネディクト十六世が示した倫理的金融のモデルへ向けての一歩だ、と言う。
教皇はこの7月、回勅「カリタス・イン・ヴェリターテ」を発表したが、そこでも「しばしば株主の指示のみに答える経営者」に対し、教皇は金融資産の投機的利用を避けるよう呼びかけている。
契約の詳細は明らかにされていないが、税務当局である米内国歳入庁(IRS)は5万2千人の米国人がスイス大手銀行UBSの協力を得て脱税した疑いがあるとして、UBSを提訴していた。UBSは12日、米司法省と和解した。スイス政府の了解の下に行われたと見られる和解には、顧客名簿の一部をIRSに提出することが含まれ、1万人程度の情報が開示されるという。