【CJC=東京】教皇ベネディクト十六世は6月28日、ローマ城壁外のサンパウロ大聖堂で夕べの祈りを行った際、説教の中で、使徒パウロの墓とされている石棺から古代の人骨の破片が発見されたことを明らかにした。
教皇は、1年間に及ぶ聖パウロ祝賀行事の最終日にあたる同日、同聖堂の祭壇の下にある墓で行われている科学的調査について触れたもの。
これまで一度も開けられたことのなかった石棺に、微小な穴を開け、特別な機器を通して調査、金糸を織り込んだ緋色の高価な麻布と、青い麻布の形跡、および少量の赤色の香と、たんぱく質と石灰質の成分が検出された。また非常に小さい骨の破片は炭素14による年代測定の結果、1〜2世紀に生きた人のものと診断されたという。
調査結果は、墓に葬られているのは使徒パウロであるという言い伝えを確認するものと思われる、と教皇は述べた。
使徒パウロの遺体はペテロと共にアッピア街道の地下墓地に埋葬され、サンパウロ大聖堂が建てられたときにその下に移されたとされ、祭壇の下に遺骨があると信じられてきた。
調査をバチカン(ローマ教皇庁)は2002年に許可、06年12月に祭壇の下に石棺があることをバチカンの考古学者が発表、なお科学的な調査を行っていた。
バチカン放送(日本語電子版)によると、教皇はパウロ年の終了にあたり、使徒パウロを通してイエスを知り、彼のように福音に照らされ変容させられることは、常にキリスト者の生活に必要なことであると説き、これからも同使徒と共に歩んでいくよう信者を励ました。