8.ものすごい映画「パッション」
皆さん、「パッション」という映画を観ましたか。この映画は、アメリカではもう2億人も観ているのです。映画館に2億人も観に来た。強烈ですね。日本でも百万人を超えました。宣伝もほとんどしないのにです。たった2時間ですが、この映画には牧師一生分の説教が詰まっているというのです。ですから、教会へ行くのが面倒臭いという方は、「パッション」を映画館へ観に行くと、たったの2時間で聖書の神髄が分かってしまいます。
私も試写会を観に行って圧倒されました。それまでも十分に分かっているつもりでしたが、やはり、あの十字架の壮絶な場面を見た時に、私は心底から分かりました。神は愛です。イエスは愛です。もう本当に分かってしまいました。そうしたら、そのパッションが私に乗り移ってしまったのです。
それで、私は百枚くらいチケットを買って知り合いに配りました。すると観に行った方が、みんな信じてしまうのです。みんながみんなとは言いませんが、聖書を一度も読んだことがないという方が、「イエスさまという神さまが私を愛してくださっていることが分かりました。信じます」「教会に行くにはどうしたらいいのでしょうか」「洗礼を受けるにはどうしたらいいのでしょうか」というような方が何人も現れたのです。
ある方は、末期ガンの5期で、もう余命数か月で入院していました。その患者さんを介護していた方がこのチラシを渡されて、無性に「パッション」を観に行きたくなったのです。私からチケットをもらった人が都合で観に行けないので、それをこの介護人にあげたのです。その方が観に行きましたら、心底感動して不思議な精神状態になってしまった。イエスが私たちのすべての病いをいやしてくださったのだと心から分かったのです。
その精神状態が今度は患者さんに移って、なんとガンが治ってしまった。末期ガン5期の患者さんの介護人が、「パッション」を観に行ったら、患者さんが影響されて治って、退院してしまった。担当のお医者さんは、「これは奇跡だ。すごい奇跡だ!」と驚いています。
なぜでしょうか。この映画を作った方は、メル・ギブソンという有名な、アカデミー賞を受賞したハリウッドの監督、俳優です。彼は大金持ち、超有名人、モテモテの人だったのです。ところが12年前は、アル中、麻薬中毒、うつ病、自殺願望で、肉体的にも精神的にも破綻していた。その名声と豊かさにもかかわらずです。いや、それゆえにかもしれません。
そんなギブソンに、先輩の俳優が、「君、聖書を読んだほうがいいよ」と勧めてくれたのです。なんとか苦しいところから立ち直りたい思いで、ギブソンは聖書を読んだ。イエスは、鞭打たれ、血を流して、ゴルゴダの丘に十字架をかついで登らされ、そして、最後は十字架に付けられて殺された。
その聖書の場面を、彼は映画人ですから、心の中で映像で観ていたわけです。「そうか、こういうことなのだ。イエスはこういう道をたどられたのだ」。それを心の映像で観ているうちに、なんと彼の病いがすっかり治ってしまったのです。いろいろ悪いことをして、罪の意識が相当あったと思いますが、その罪の意識もなくなってしまった。
こうして、破綻と絶望の淵にいたメル・ギブソンは、人生を新しく再出発することができたのです。彼は自分の体験から、それを映画で再現して、ぜひ大勢の皆さんに観てもらいたい。「私はイエス・キリストに病いを癒され、罪から解放されて、どん底から救われたのだ!」ということを、全世界に証言したい。こういう強い願いを持ちました。
聖書の福音とは、要約すれば、これは私の要約ですけれども、神は私たちにこう宣言しておられます。
「わたしはあなたのすべての病いを癒している。わたしはあなたのすべての罪を赦している。わたしはあなたを悪魔から解放し、あなたのすべての問題を解決している」
聖書によれば、第一に、イエス・キリストの打ち傷によって、私たちのすべての病いは癒されたのです。
二千年前にすでに癒された。だから、聖書に戻ればいいのです。「すでに癒されているんだ、今、病気のような症状はあるけれども、イエス・キリストの打ち傷によって真実は完全に癒されているのだ」
第二に、イエス・キリストの十字架の犠牲によって、私たちのすべての罪が赦されている。
神に対する罪、人間に対する罪、根源的には、それはもう赦されている。だから、罪の意識を持つ必要はないのです。イエスは、私たちの身代わりとなって、病気を負い、罪を負ってくださったのです。
第三に、死からよみがえったイエス・キリストの復活によって、イエスの復活を信じる人の中に復活の命が流れ込んでいます。
復活の命とは、死を乗り越えていく永遠の命です。永遠の神の命が流れ込んでいる。神の命は永遠、無限です。地上の人生は長くてもせいぜい百年ぐらいです。それは永遠、無限の視点から見れば、あまりにも短い。その短い人生の中で、すべった転んだと騒いでいるわけですが、どんな問題もたいしたことはない、なんとかなる。しかも、それは全部、益になるのです。メル・ギブソンだって、あの苦しみがあったからこそ、すばらしい映画を作ることができたのです。
皆さん、誰もこの映画がヒットするなんて思っていなかったのです。だから、誰も投資してくれなかった。ハリウッド映画は、投資家が映画に投資してくれないと作れないのです。「パッション」に投資したってヒットするはずない、損するだけだ。それから、配給会社もつかなかったのです。ふつうは配給会社がいくらか映画の制作費を出してくれるのです。「金を出すから、うちに配給させてくれ」と。でも、「いやあ、そんなヒットしない映画を配給するのは嫌だ」と、配給会社も寄りつかない。誰も配給してくれない。そこで、ギブソンは自分の全財産27億円を、製作のためにぶちこんでしまったのです。
「私はイエス・キリストによっていやされ、救われ、解放されたのだ。もう自分の財産も惜しくない。破産してもかまわない。なんとかしてこれを映画にして大勢の人たちに観てもらいたい!」。その一途なパッションです。それが神に通じたのだと思います。もう興行収入は6百億円を超えています。もしかしたら、DVDだ、テレビ番組放映だで2千7百億円を超えてしまうかもしれません。なんと27億円の百倍、どうですか、儲かっているではないですか。
「良い種を良い土地にまくと、30倍、60倍、百倍の実を結ぶ」と聖書には書いてあります。27億円投資したら、百倍の2千7百億円返ってくる。やっぱり信者って儲かるのです。もう、めちゃくちゃ儲かる。でも、中途半端じゃだめです。メル・ギブソンみたいに全財産を注ぎこむくらいの、それほどの信仰です。神を信じるということは、神にすべてを任せることですから。そうしたら、絶対に儲かる。これは神の保証付きです。
(次回へ続く)
佐々木満男(ささき・みつお):国際弁護士。宇宙開発、M&A、特許紛争、独禁法事件などなどさまざまな国際的ビジネスにかかわる法律問題に取り組む。また、顧問会社・顧問団体の役員を兼任する。東京大学法学部卒、モナシュ大学法科大学院卒、法学修士(LL.M)。このコラムでは、2004年11月6日のインターナショナルVIPクラブ広島特別講演会での講演録を再構成し、一部加筆したものを紹介する。