賀川豊彦が神戸のスラム街でキリスト教伝道と救貧活動を始めてから、今年で100年を迎える。弱さを持つ人や社会に受け入れられない人々を守り、キリストの福音を宣教した賀川の精神を後世に伝えたいと、昨年から東京と神戸で記念プロジェクトの実行委員会が立ち上がり、様々な記念行事を実施している。29日には、東京プロジェクトがメイン事業とするシンポジウムが明治学院大学で開催される。
シンポジウムのテーマは「寛容の再生」。国際基督教大学教授で同平和研究所長の最上敏樹氏が「寛容の再生のために」と題して基調講演を担当する。総合司会は古屋安雄氏(聖学院大学大学院教授・国際基督教大学名誉教授)。人類全体の課題ともいえる「いかに寛容をはぐくむか」について、賀川の業績を振り返りつつ考察する。
パネル討論では「平和・人権・共生」をテーマに、社会福祉の視点から阿部志郎氏(神奈川県立保健福祉大学名誉学長・横須賀基督教社会館会長)、協同組合運動の視点から野尻武敏氏(神戸大学名誉教授・協同学苑学苑長)、農の視点から荒川朋子氏(アジア学院副校長)、宗教の視点から戒能信生氏(日本基督教団東駒形教会牧師)が意見を述べる。司会は、加山久夫氏(賀川豊彦記念松沢資料館館長・明治学院大学名誉教授)。
28日にはシンポジウムのプレセッションとして、当日のパネリストでもある野尻武敏氏の講演会も開催される。テーマは、「賀川豊彦「友愛の政治経済学」−その現代的意義」。
シンポジウムは29日午後2時から、会場は明治学院大学白金校舎(港区白金台1−2−37)。参加無料(定員500人)。28日のプレセッションは午後6時から、会場は東京都生活協同組合連合会(中野区中央5−41−18)。問い合わせは、賀川豊彦献身100年東京プロジェクト(03・3302・2855)。