【CJC=東京】北朝鮮当局は3月半ば、援助物資を分配している世界食糧計画(WFP)や『マーシー・コーパス』などキリスト教救援5団体が結成した『NGOパートナーズ』に、4月以降の活動禁止や退去を求めた。『NGOパートナーズ』は2008年6月以来、米国際開発庁(USAID)の援助計画の一部を担っていたが、北朝鮮がオバマ政権の姿勢に反発したものと見られる。米朝は昨年、計50万トンの食糧援助を行うことで合意。これまで10カ月の間に16万9000トンが北朝鮮に輸送された。
『NGOパートナーズ』は『マーシー・コーパス』と『ワールドビジョン』が共催、韓国の『クリスチャン・フレンズ』『グローバル・リソース・サービス』『サマリタン・パース』などが参加している。
北朝鮮側の姿勢に、『NGOパートナーズ』はメディアを通じ声明を発表した。「今回の決定は遺憾だが、援助が遂行出来たことを非常に誇りとしている。北朝鮮のパートナーと密接に協力し、約100万人の無力な子ども、妊婦、育児中の母親、高齢者に食糧が届けられたことは保証出来る。私たちの組織はそれぞれ10年以上にわたって北朝鮮で活動して来た。北朝鮮支援にかかわり続け、独自の健康、水道、衛生、農業に関する活動はこれまで通り継続することになろう」。
声明は、『NGOパートナーズ』が50万トン配布計画の中の10万トンを受け持っていたことを明らかにした。全体の8割に当たる40万トンは世界食糧計画が配布している。北朝鮮に送られた16万9000トンの内で『NGOパートナーズ』が持ち込んだのは7万1000トン。慈江道と平壌北方地域で90万人以上に配布された。
声明は「食糧を最も必要とする所に届けられることを確認するため、比類ない監視の下に行われたモデルプログラムであった。現地スタッフ16人は北朝鮮側のパートナーと密接に協力した」と述べている。
声明はさらに「北朝鮮の人々が飢えに打ち勝ち、生活を改善するための支援を続ける。食糧計画は北朝鮮が人道主義的支援を極度に必要としていることから発している。私たちは、これらのニーズに対処するために個々の組織として、また協力パートナーシップとして働き続ける。このプログラムの成功が未来のためにモデルとして役立つことを望む」と述べている。
『NGOパートナーズ』を構成した各団体の概要は次の通り。
『マーシー・コーパス』=世界各地の自然災害、貧困、紛争の危機にさらされている地域を、進歩の機会に転換するのを支援している。現地の事情と市場を検討し、資材を提供するなど生活改善を支援する。37カ国で1450万人の生活改善のために専門家3700人が活動している。サイトは www.mercycorps.org。
『ワールド・ビジョン』=世界規模で子ども、家庭、その共同体と協力して、貧困と不正の原因に取り組み、可能性を十分に引き出すことに尽力している。宗教、人種、民族、性を問わずすべての人々に奉仕するキリスト教人道支援団体。サイトはwww.worldvision.org。
『サマリタン・パース』=他団体がほとんど活動していない場所で、特に危機状況にある個人の物的、霊的なニーズに即時、煩雑な手続き不要の対応を行っている。戦争、病気、自然災害、貧困、飢饉、迫害の犠牲者を援助するために100カ国以上で活動している。サイトは www.samaritanspurse.org。
『グローバル・リソース・サービス』=慈善活動を越えて、平和と安全が脅されている複雑な危機の真の解決を見つけることを専門にしている。サイトはwww.grsworld.org。
『クリスチャン・フレンズ』=北朝鮮の人々に希望と和解を伝えようと、1985年以来活動している。結核対応など医療設備など3500万米ドル(約35億円)以上を贈ってきた。サイトはwww.cfk.org。