【ジュネーブ=ENI・CJC】欧州教会会議が、アルバニア政府に、第二次世界大戦後、46年に及ぶ共産主義体制下で押収した教会資産の返却を呼び掛けている。
同会議は、「共産主義体制下で押収された資産の多くは、民主化後18年を経てもなお教会やキリスト教団体に返却されないままだ」と、正教会のティラナと全アルバニアの大主教アナスタシオスが主宰して首都ティラナとドゥラスで開催した幹部会の席上、2月11日発表した声明で指摘している。
アルバニアはエンヴェル・ホッジャ首相の指導の下で1967年に無神国家を宣言、一切の宗教活動を禁止した。その後20年以上にわたって、全ての宗教活動は厳しく禁じられ、宗教関係建築物は破壊された。
91年から始まった民主化により復活した宗教自由化政策を同会議は歓迎したものの、当局が宗教関係資産の返却に応じていないことに、同会議指導者は関心を表明、政府に「全ての聖なる所を関連する土地とともに、ただちに返却することの再検討」を求めている。
アルバニアの総人口350万人の約7割はイスラム教徒、キリスト教では正教会信徒が2割、ローマ・カトリックが1割。
アナスタシオス大主教はギリシャ人だが、コンスタンティノーポリス総主教バルソロメオス一世によって92年にアルバニア独立正教会ティラナ大主教に指名され、教会再建に尽力した。
その後、新しく150教会が建設され、修道院や歴史的建造物70箇所も復興した。改修された教会も160箇所に及んでいる。
また正教会は、厚生、教育、社会活動、農業開発、文化、環境問題、宗教間対話などに努めている。現在の聖職者数は約140。