米プロテスタント最大の教団である南部バプテスト連盟(SBC)は15日、テネシー州ナッシュビルで開催した年次総会で、リデンプション教会(アラバマ州)主任牧師のエド・リットン氏(61)を新議長に選出した。
リットン氏は長年、人種間の和解のために取り組んできたことで知られており、2012年に黒人で初めてSBCの議長に選出されたフレッド・ルター元議長の推薦を受けた。決選投票は、SBC元執行委員長でエマニュエル・バプテスト教会(ジョージア州)主任牧師のマイク・ストーン氏との戦いとなり、6834票対6278票の僅差で勝利した。
リットン氏は「穏健派」「リベラル派」と呼ばれることもあるが、自身は政治的にも神学的にも保守派だと自認している。16日に発表した声明では、「私は、神の言葉の無誤性、無謬(むびゅう)性、充足性を信じている」と述べ、「私はプロライフ(中絶反対)であり、結婚は男女間のものであると信じている」と表明した。しかしその一方で、講壇上で政治的な話をすることはなく、依頼があればあらゆる政党の政治家と協力する用意があるとし、「私の仕事は、どこへ行ってもイエス・キリストの代理人となること」としている。
男女にはそれぞれ別の相補的な役割と責任があるとする「相補主義(Complementarianism)」の立場を取り、牧師職は男性に限られるとするSBCの現在の立場を支持している。女性牧師を容認しているSBC内の教会への対応については、「それはわれわれが解決しなければならないことだ」と語った。
性的虐待の問題については、「すべてのことを明らかにし、光にさらしたい」とコメント。すべての教会が「人々が保護され、犠牲者にならない安全な場所」であることを保証するため、SBCは「懸命に取り組む」必要があると述べた。また「壁ではなく、橋を築きたい」と述べ、SBC内の一致に向けて意欲を示した。
リットン氏は2007年、25年間連れ添い、3人の子どもがいた妻タミーさんを交通事故で亡くしている。その後09年には、牧師の夫を同じく交通事故で亡くしたキャシーさんと出会い再婚。「神は、人生で最も苦しい中にいるとき、遠くに行かれる方ではない。むしろその逆で、聖書にはこのように書かれている。『主は助けを求める人の叫びを聞き、苦難から常に彼らを助け出される』(詩編24:18)」と話している。