インド東部のオリッサ州で発生したヒンドゥー教徒によるキリスト教徒に対する暴動は、発生後すでに1週間以上が経過したが沈静化の見通しは立っておらず、事態のさらなる悪化が懸念されている。
現地のキリスト教団体「オーディオ・スクリプチャー・ミニストリー」で活動するJP・サンダーラジャンさんは、米福音派系通信のミッション・ネットワーク・ニュース(MNN)に対し、「この暴動は沈静化するものとばかりと思っていたが、その兆しが全く見えない。実際に事態は悪化の一途をたどっている」と、依然として事態の収拾に向けた見通しが立っていない状況を語った。
暴動により、これまで最低でも16人が殺害され、ロイター通信によればそのほとんどがキリスト教徒だという。数百棟の民家が放火され、暴動の被害を免れようと数千人が政府の建物や避難キャンプ、州内の森林地帯への避難することを強いられる状況にある。
地元警察は、暴動の発端となったヒンドゥー教徒指導者の殺害が毛沢東主義の反抗勢力によるものとしているが、ヒンドゥー教過激派は、殺害がキリスト教の過激派によるものだと主張している。これに対し、多くのキリスト教指導者らは、キリスト教徒に対する迫害の口実にしているにしか過ぎないと非難している。
暴動が発生している同州は、歴史的にヒンドゥー教徒とキリスト教徒の間で衝突が続く地で、昨年の12月にもクリスマスの前日から暴動が発生。6人が死亡し、キリスト教徒が住む民家約600棟が焼失、60以上の教会が放火に遭い、5000人以上が避難を強いられた。