【ワルシャワ=ENI・CJC】ルーマニア正教会ブカレスト総主教座は7月9日声明を発表、聖職、信徒を問わず、他教派の聖礼典を受けないように、と改めて警告した。
バナトのニコラエ・コルネアヌ府主教がカトリック教会のミサに参列、聖体を受けたことが明らかになったが、それを特例として認めた措置に伴うもの。声明は、指示に背いた人は「正教会の交わり」から外される、としている。
同府主教がティミショアラ市に新しく奉献されたギリシャ(ビザンチン)典礼カトリック教会(東方帰一教会)で5月25日、聖体を拝領したことを最高統治機関である聖シノドス(教会会議)を控えて明らかにし、説明したのを受けて声明は出された。
声明は、83歳と高齢の府主教が行った『違法行為』は認められないとしている。またオラデアのソフロニエ主教が、今年1月にカトリック教会主教と公現祭のミサを共催したことも認められないとしている。両者の行動が「教会内に紛議を引き起こした」とも指摘した。ただ、「遺憾であり反省するとの意向が示されており、それは態度変更の第一段階」と認めると言う。
ルーマニアでは、東方教会の典礼を守りながらローマ教皇に忠誠を誓うギリシャ典礼カトリック教会と主流の正教会との間で緊張が続いている。1948年に共産主義政権が、主に西北部トランシルバニア地方で盛んだったカトリック教会の資産を接収、正教会の所有としたものの返還を正教会が拒否することで緊張が高まる。
7月8〜9日の聖シノドスで議長を務めたダニエル総主教は、今回の決定には「神学的対話」を中断したり、他教会に「傲慢か軽蔑」をもって接しようという意図はないと語った。
「聖体を共有するといった行動は、東方正教会とカトリック教会の教義上の差を少なくするが、一致再興の基盤としての信仰の一致を危うくする」とダニエル総主教は指摘した。同氏は昨年9月に総主教に選出された。ルーマニア正教会は、同国人口2200万の87%を占めている。