チェコの教会 ①
プラハ聖心教会 Kostel Nejsvetejsiho Srdce Pane
(ネイスヴォティシホ スルドツェ パーニェ教会)
2015年11月6日(金)・7日(土)訪問 場所 チェコ プラハ ヴィノフラディ地区
建設 1932年 設計 ヨシップ・プレチニック Josip Plecnik
軍艦のようなカトリック教会
公園の芝生の向こうに巨大な軍艦のような教会が堂々と立っている。「ノアの箱舟」のイメージだ。近くにプラハのテレビ塔が高くそびえている。
プラハ本駅から少し東の方向、ヴィノフラティ地区にあるカトリック教会。設計競技によりスロベニアの建築家ヨシップ・プレチニック設計で1932年に建てられた。プレチニックはプラハ城の再建、修復にも携わった。
教会の塔の高さは32メートル、時計の直径はほぼ7・5メートル。
なんと大きい教会なのだろうと建物のスケールに驚いた。正面からぐるりと外周を歩きながら写真を撮る。遠くからでないと全体像が枠内に納まらない。
14世紀に神聖ローマ帝国の首都として繁栄したプラハの街。その後幾度かの戦争を経ながらも、町はほとんど破壊されずに発展してきた。ロマネスク、ゴシック、ルネサンス、バロック、アールヌーヴォー、アールデコとさまざまな建築様式の建物が残っている。
この建物も一連のアールデコ風の建築。外観はこげ茶と白のコントラストが力強い。内部は、東欧世界の影響か、正教会のような聖壇面。
礼拝は、日曜日9時、11時、18時、月曜から土曜は8時と18時。私たちは土曜日の朝8時の礼拝に出席した。
外観
内観
早朝聖餐式
私たちも聖餐にあずかった。出席者は40人ぐらい。司式担当の女性は、美しい声で賛美をリード。オルガン演奏なしの礼拝。パン(ウェハース)を葡萄酒につけてからいただく。司祭は最後に残った聖なる血(葡萄酒)をすべて飲み干す。
プラハからチェスキー・クロムロフなど地方の町を3日間専用車で巡ったが、そのドライバーは「祖母や父はこの教会に通っているし、自分もクリスマスには礼拝に行く」と話してくれた。
1日目は日も暮れかかった午後4時ごろ、正面入り口外のドアでクリスマスの飾りを準備していた電気技師(写真)の男性に内部を見たいと言うと、「今は内部ドアが閉まっていて入れないが、明日朝8時から礼拝があるから中に入れるよ」と教えてくれた。次の朝、礼拝に行き再会、「やあー!」と笑顔であいさつ。電気コードを持ってかいがいしく動いていた。
ヨーロッパはこれからどうなるのか。プラハから帰国した日(2015年11月13日)にイスラム国(IS)によるパリ同時多発テロが起きた。
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西村晴道(にしむら・はるみち)
1948年、靜岡県生まれ。一級建築士。法政大学工学部建築学科卒。住友建設株式会社入社・退職し、アメリカ合衆国ソービック建築設計事務所短期留学を経て、1984年、西村建築設計事務所開設。現在に至る。ルーテル学院大学第10回リード賞(キリスト教芸術分野)受賞。日本福音ルーテル静岡教会会員。著書に『FINE ROAD―世界のモダンな教会堂をたずねて』(イーグレープ)。
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