チェコ セドレツの人骨教会とポルトガル エヴォラの人骨堂
チェコ セドレツの人骨教会
2015年11月8日(日)訪問 場所 チェコ クトナー・ホラ
クトナー・ホラは、プラハから東へ65キロ、中部ボヘミアの小さい都市。静かな街並みだが、この地はかつて銀の産出が豊富で、プラハに次ぐほど繁栄をしたという。聖バルバラ教会や聖母マリア大聖堂のある、1995年に世界遺産登録された歴史都市。
正面の門を入ると墓がたくさん並び、教会の周りを取り囲んでいた。地下の納骨礼拝堂へ足を踏み入れると、壁も天井もシャンデリアも十字架もすべて骨でできている。その数なんと4万体、頭蓋骨もずらりと並べられている。
13世紀後半、セドレツの修道院長がエルサレムにある聖墓から一握りの土を持ち帰ったことから、この教会は聖地と見なされ、埋葬を望む人の遺体が中央ヨーロッパ各地から集まった。戦争やペストによる何万人もの犠牲者も眠っている。
それらの骨が半盲の僧侶の手によって積み上げられたのは1511年。現在見られる人骨のシャンデリアや、シュヴァルツエンベルク家の紋章などの装飾は、1870年ごろチェコの木彫師によって作られた。
9月末、養老孟司著『身体巡礼:ドイツ・オーストリア・チェコ編』を読んだ。表紙の写真が衝撃的な骨のバイオリンだった。その1カ月後に実物にお目にかかろうとは奇遇だ。
ポルトガル エヴォラの人骨堂:サン・フランシスコ教会
1999年9月25日訪問 場所 ポルトガル エヴォラ
人骨の教会は26年前に訪ねたポルトガルにもあったのを思い出した。納骨堂は、エヴォラ骸骨礼拝堂「The Capela dos Ossos」とも呼ばれる。
16世紀に建てられたもので、エヴォラにあった42の修道会墓地から集めた約5000体もの人骨が壁・柱などの至る所に装飾的に埋め込まれている。
土地が狭い場合は、よく教会の地下に人骨が整然と納められていることがある。
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西村晴道(にしむら・はるみち)
1948年、靜岡県生まれ。一級建築士。法政大学工学部建築学科卒。住友建設株式会社入社・退職し、アメリカ合衆国ソービック建築設計事務所短期留学を経て、1984年、西村建築設計事務所開設。現在に至る。ルーテル学院大学第10回リード賞(キリスト教芸術分野)受賞。日本福音ルーテル静岡教会会員。著書に『FINE ROAD―世界のモダンな教会堂をたずねて』(イーグレープ)。
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