明治学院大学の「キリスト教に基づく人格教育」と教育理念である"Do for Others"は、「人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしなさい(マタイ7・12)」という聖書の言葉に由来しており、33年間という長い時間を日本人のために捧げた創設者ヘボンの信念を一言で表している。明治学院大学は、そのヘボンの生涯を貫く信念とキリスト教に基づく人格教育を建学の精神を今に受け継いでいる。
大槌町からは町長の碇川(いかりがわ)豊氏、副町長の高橋浩進氏、佐々木彰氏が、明治学院大学からは学長(現明治学院長)の大西晴樹氏、ボランティアセンター長補佐で社会学部教授の浅川達人氏、同次長の三上耕一氏が出席した。大槌町との親密な関係は、これまで明治学院大学のボランティアセンターを中心とした復興支援プロジェクト「Do for Smile@東日本」を立ち上げた中で、延べ約1,000名の学生を派遣して活動を展開した中で着々と築かれていった。
岩手県大槌町吉里吉里では、学校の清掃や保育園で園児たちのケアを手伝うといった支援から始め、やがて避難所からの買い出し、さらに廃材を薪に再生して販売するプロジェクトへの協力、そして、一度は津波ですべて流されかけた「吉里吉里語辞典」をデジタルデータで復元し、その上にそれぞれの言葉が使われていた生活背景を掘り起こしながら音声データもつけ加えてデータベース化するなど、吉里吉里の文化そのものを復興し、将来に繋げてゆく作業にまで、ボランティア活動の幅は広がり、また双方の関係が深まってきたという。
調印式では、復興活動、地域経済の振興、地域文化の保存・継承、人材交流、教育および人材育成、まちづくり等について、両者の将来に渡る関係の強化が確認された。また、その後の挨拶では、明治学院大学学長(現明治学院長)の大西氏が「大槌町がボランティア学生を受け入れてくださったことで、ひとりひとりが大学の授業だけでは得られないものを獲得し大きく成長している。そのことに感謝している」と礼を述べた。一方大槌町町長の碇川氏は「大槌では明治学院大学の学生は信頼されている。“Do for Others” という教育理念がボランティア活動を通じて発露しているのだと思う」と述べた。
協定は3年間を期限とするが、その後双方で見直しながら継続されていく方針であるという。