１９４４年生まれ、福岡市出身。６５年、福岡バプテスト教会で受洗、後に日本基督教団の教会に転入し、Ｃコースで補教師試験に合格。９６年より我孫子教会担任教師、２００５年より主任担任教師となり、２０年間在職。現在日本基督教団隠退教師。九州大学文学部卒業。東京都庁に勤務後、１９７８年より２００２年まで、船橋市で夫と共にモンテッソリー教育を取り入れた幼児教育や、小中学生対象の教えない教育という、やや風変わりな私塾（レインボースクール）を運営。（２０１７年７月１７日死去、プロフィールは執筆当時のものです）
もともと、本を読むのが苦手な孫のため、９歳の誕生日のプレゼントとして書き始めた童話です。最初の読者は家族だけでした。教会が遠くて、親も働いていてなかなか出席しにくい。教会学校の生徒も少なくなり、現実の教会では独りぼっちに近い。そういう子どもは孫だけではないでしょう。
ノードは一人ぼっちの生活になれてしまいました。「私は生きている。アルム、ミムラ、生きているのか。返事をしてくれ」
翌日、カンサイさんと那美（なみ）さんは小人の３人組を連れておチカさんの所に行きました。民宿のおじさんが３人組を鉱山資料館（こうざんしりょうかん）に連れて行ってくれると約束してくれたので、別行動を取ることになりました。
夏休みになりました。３人組はアドベンチャーに出発しました。カンサイさんの教会で、ツリーハウスで一泊（ぱく）子どもキャンプが開かれるのに参加するため、都留（つる）を目指して特急かいじに無事乗車しました。
「常雄さんは私の親友です。だれも友達のいなかった私にとって、あの人はかけがえのない大事な人でした。それに、仲間のところに行けたのもあの人のおかげです。この家で子ども時代のぼくたちは兄弟みたいにしてすごしました」
ユキトはパソコンを開きました。誕生日のお祝いに中古のノートパソコンをもらってから、調べ物をするときはいつも自分のパソコンを使うことができるので、調べるのもうまくなっていました。
ああ、たいくつだなあ、テレビの録画したのを見ようかなと思っていたら、「ユキト、聞こえるかい、アルムだよ」という声がしました。「そばにだれかいる？」
「月山満」という名前をパソコンに打ちこんだユキトは「メルヘンの画家・・・小人のいる庭」という言葉を見つけました。「月山満メルヘン美術館」という言葉も見つけました。パソコンの画面を印刷してもらうと、「あら、教会の近くなのね」とママが言いました。
３人組はこのノートをログハウスに持ち帰り、本だなから辞書を出して来て、一所けん命に読みました。むずかしい字も多く、何と書いてあるのか分からないような大人の字だったので、苦労して読みました。
３人はあきらめて、元の場所にもどり、机の上のノートを開きました。「このノートに書かれていることは本当のことだと思う人には本当のことです。でも、ただのお話だと思う人には、ただのお話になるかもしれません」と、１ページ目に書かれていました。
春休みになりました。もうすぐ４年生になると思うと、シュンスケは大人になるような気がしました。ワクワクするような、それでいてちょっとこまった感じもしていました。
クリスマスイブの夕べになりました。少し暗くなると、外の大きな木につけたイルミネーションがキラキラかがやき出しました。昼の間お日さまの光をためたライトは、あたりが暗くなるとひとりでに光り出すのだそうです。
「月山さん、塔の鐘がこわれてしまったので、取りかえたいのですが、手伝ってくれますか」。背の高い月山さんは、教会の塔のてっぺんに新しい鐘をつるしました。建築技師（けんちくぎし）の月山さんが、知り合いに頼んで作ってもらった鐘です。
クリスマスが近づきました。ケンタはお父さんから月山さんがレインボー・ホームに入ったことを聞きました。ケンタのお父さんはこのホームでお年よりのお世話をする仕事をしています。
「あっ、イースターの卵だよ。教会のお庭にかくして卵さがしをやったのに、１つも見つからなかったんだ」「こんなところにあったなんて」。シュンスケとケンタは口ぐちに言いました。
「人の子たちよ」と、その不思議な人がよびかけました。その人は小人だったのです。お話の絵本に出てくるような曲がった鼻もしていませんし、赤黒い顔もしていません。白いひげも生えていません。
教会のお年よりが急に具合が悪くなって、もしかしたら亡（な）くなるかもしれないので、出かけるけれど、君たち３人だけで留守番しても大丈夫（だいじょうぶ）かと聞かれて、大丈夫、大丈夫と３人は答えたのです。
ある暑い夏の夜のことでした。ユキトはシュンスケとケンタといっしょに、留守番（るすばん）をすることになりました。ほんとは、その日おじさんの家にお泊（とま）りをして、もちろんおばさんもいて、子どもたちだけで夜をすごすなんていう予定じゃなかったのに。
