日本における宣教と地域福祉のあり方について考える「日韓地域福祉宣教セミナー」が6日、「故郷の家・神戸」(兵庫県神戸市)で開催された。参加した日韓の教会指導者ら約60人は、両国ですでに始められている、福祉を取り入れた新しい宣教の取り組みについて話し合った。
社会福祉法人・神戸聖隷福祉事業団理事長で牧師の土肥隆一衆議院議員が講演で、国が膨大な借金を負い行政や福祉施設を含む日本社会の全ての領域がこころの支えもなく行き詰っていると報告したうえで、「心の支えなくして福祉や医療ができない時代が来ている。教会から献金してもらおうというのではない。教会から本当に人に仕える人材を送ってほしい」と訴えた。
また、土肥議員は、社会福祉が制度化された結果、肥大化し、その基本理念にあったキリスト教信仰を排除してきたと指摘。福祉活動における地域とキリスト教コミュニティとのよい関係づくりが重要であると強調したうえで、キリスト教精神に根ざしつつ地域に開放された福祉を実現した具体例としての「故郷の家」の働きを賞賛した。
社会福祉法人こころの家族理事長の尹基(ユン・キ)氏は、「地域社会が困窮している今、牧師が聖書と福祉をもって地域社会に入っていけばもっとすばらしい働きができるのではないか」と述べ、教会を拠点とした社会福祉の新しい取り組みを提案した。
セミナー実行委員長の峯野龍弘牧師は、「(教会が)聖霊によって注がれた恵みと力をもって、苦悩する地域の人々の全人的な必要に対してどうやって宣教と牧会を届けるか――福祉宣教、このことに成功できるなら、教会は人で満ち溢れることができる。教会が社会を変えることができる」と、地域社会に全人的な救いをもたらす福祉宣教の必要性を訴えた。
韓国基督教総連合会(CCK)の朴鍾淳会長が開会礼拝でメッセージを取り次いだ。