ジェームズ・フーストン氏の新刊『喜びの旅路』出版記念講演会が2日、東京・上野の森キリスト教会(重田稔仁牧師、台東区)で行われ、本書の出版を待ち望んでいた約60人の参加者が喜びをもって同師を迎えた。「ジェームズフーストン先生ご夫妻を招く会」が主催。
講演でフーストン氏は、「これまでで最も書きやすかった。内側から流れ出るようであった」と本書について語った。書き始めたきっかけは、「父さん、聞けなくなる前に教えてください。あなたが生きる拠り所としていた『確信』は何ですか?」という同師の息子からの質問だった。
本書を「一般に理解されている、また行われている『キリスト教』に対して『そうじゃない!』といっている本」と話すフーストン氏。講演では、同師がこれまでに経験した3つの出来事について語りながら、生涯を通して決して譲ることがなかった「確信」を伝えた。
戦後、政府の手による地域開発に携わっていたフーストン氏は、開発が、地元住民の利益または有効な土地利用のためではく、政治家自身の利得を目的に行われてるのを目の当たりにした。
また大学教授時代には、学生に規則を厳しく守らせている学長本人が、規則を守らずに自分勝手に行動しているのを見た。さらに「これは正しくない」と会議の場でその事を取り上げると、25人の評議委員うちフーストン氏以外は学長の不祥事に口を閉ざし、自らの保身のために事実を隠蔽したという。
さらに神学校に勤務していたときのこと。新任教授として赴任してきた一人の神学者が、実は1カ月前に離婚したばかりで翌月にはすぐに再婚することになっていた。フーストン氏は、これを倫理的な問題として「あまりにもバカげた話」と語った。
これらの出来事が「自分が属する教団、団体の中でも起こりうる」とした上でフーストン氏は、「私たちは神について語る、しかし本当に神と共に歩んでいるのだろうか」と会衆に問いかけた。
フーストン氏は、「私たちの信仰が信用できるものかどうかは、私たちの子どもの姿に表れる」とし、自分がもつ確信は「愛によって生きている」子どもたちの姿で試されると語った。
最後にフーストン氏は「私たちは崖っぷちのような荒野を生きている。しかし私たちは喜びをもって生きることができる」と、世に生き天に属するクリスチャンには、貧しいようで富んでおり、悲しむようで喜んでおり、何も持たないようで神にあって全てを所有しているという、この世の見方に捕らわれない、天から見える姿があると伝えた。
同師の講演前に開会メッセージを伝えた坂野慧吉牧師(浦和福音自由教会)は、本書を「今の福音派に必要な本」、また「福音派以外の本からも豊かに恵みを吸い上げて一つにまとめた本」と高く評価した。
ジェームズフーストン著最新刊『喜びの旅路』(いのちのことば社)は定価2520円。お問い合わせは、いのちのことば社(電話:03・3353・9369)まで。