第6賀川豊彦賞の授賞式が10日、賀川豊彦記念松沢資料館(東京都世田谷区)で行われ、受賞団体のNPO法人「POSSE(ポッセ)」(同)に表彰状などが送られた。
同賞を主催する公益財団法人「賀川事業団雲柱社」はPOSSEについて、15年にわたりブラック企業問題に取り組み、特に若者の労働問題・生活困窮問題について労働法を活用して支援を続けてきたと評価。また、コロナ禍で困窮を極める外国人のための労働相談事業も展開しているとし、その働きに敬意を表した。
POSSEは、当時大学生だった代表の今野晴貴氏らが2006年に設立。翌年、正式にNPO法人化した。労働問題や生活支援、奨学金などに関する無料相談や、高校生や大学生などを主な対象とした労働法教育、雇用問題総合誌「POSSE」の発行などを行っている。13年のユーキャン新語・流行語大賞トップテンに「ブラック企業」が選ばれた際には、今野氏が受賞。19年には「外国人労働サポートセンター」を設立し、技能実習生や留学生、難民を含めた外国人労働者の権利を守るための活動も展開している。
賀川豊彦賞は、社会的弱者救済を訴えてセツルメントや保育事業、協同組合運動など多方面にわたり先駆的な活動を展開したキリスト教社会運動家、賀川豊彦(1888~1960)にちなむ賞。貧富の格差や人間の疎外、互助精神の希薄化など、現在も存在する社会的ひずみの中で、「先駆的な活動で、社会的影響力があり、今後の広がりに期待をされるもので、現在すでに一定の永続的基盤を確立している」団体や個人に贈られる。
これまでに、奥田知志牧師が代表を務める生活困窮者支援の認定NPO法人「抱樸(ほうぼく)」(北九州市)や、提供規模などで国内トップクラスとされる認定NPO法人「フードバンク山梨」(山梨県南アルプス市)などが受賞している。昨年の第5回は、元暴走族の野田詠氏牧師が代表を務める青少年自立支援団体のNPO法人「チェンジングライフ」(大阪市)など4団体が奨励賞を受賞した。