大秦景教三威蒙度讃について
唐代8世紀ごろの作と考えられるものに、シリア語(別にソグド語の断片がある)から漢訳した景教徒たちの賛美歌「大秦景教三威蒙度讃(だいしんけいきょうさんいもうどさん)」があります。本書はペリオ探検隊が1906年からの敦煌莫高窟調査で発見した賛美歌で、シリア語から訳されたものでしょう。そして、著者が持っている中国語賛美詩には古賛美詩として曲がつけられて歌われています。
三威蒙度讃の「三」とは三一の神、慈父・明子・浄風のこと、「威蒙度」はシリア語のイムダァ(imuda)の音訳で洗礼を意味するとの説があります。三一の名において洗礼を授ける際に賛美した歌と言えます。他に三一の神による救いを賛美したとの説もあります。
字数は、7言が43句で、8言が1句、計309字となっていて比較的覚えやすい賛美歌と言えましょう。漢文と現代意訳を『景教』から引用しました。
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※ 参考文献
『景教—東回りの古代キリスト教・景教とその波及—』(改訂新装版、イーグレープ、2014年)
旧版『景教のたどった道―東周りのキリスト教』
高橋英海「翻訳と文化間関係 シリア語とその周辺から」95-102 『精神史における言語の創造力と多様性』(慶応義塾大学出版会、2008年)
『シルクロード大美術展』図録より(読売新聞社、1996年)
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