聖書アプリ「Glo Bible(グローバイブル)」の最高責任者(CEO)であるエデン・チェン氏(29)が、米フォーブス誌の「30 Under 30(30歳未満の30人)」(マーケティング・広告部門)に選ばれた。チェン氏は、グローバイブルのCEOだけでなく、ソフトウェア開発企業「フィッシャーマン・ラボ」や、デザインスタジオ「ナイフ・アンド・フォックス」を、共同設立者として立て続けに立ち上げた起業家であり、他のベンチャー企業2社でも重要な立場にある。成功を収めたこの若き起業家に話を聞いた。
2017年の「30歳未満の30人」(同部門)では、米CNBCの即興トーク番組「クリーブランド・ハッスル」の司会者であるボニン・バウ氏、米ゼネラル・エレクトリック(GE)社の最高マーケティング責任者(CMO)であるリンダ・ボフ氏、モバイル動画ショッピングサイト「MikMak(ミクマク)」のCEOであるレイチェル・ティポグラフ氏、FIFA女子ワールドカップ元米代表のアビー・ワンバック氏の4人が選考委員となり、1万5千人の候補者の中から30人を選りすぐった。4パーセント未満という合格水準は、ハーバード大学やスタンフォード大学などのアイビーリーグよりも、さらに厳しい水準である。
チェン氏は、クリスチャンポストのインタビューに、「フォーブスの『30歳満の30人』に挙げられたことには、深く感謝しています」「これは多くの労苦と情熱、また商品の売り込みの結実であり、優秀なチームと家族、そして信仰の助けなしには実現できなかったことです」と語った。
仕事の目的はお金儲けでも、起業家や発明家になることでもない、とチェン氏。「私の目的は、ビジネスや才能を用いて人に仕えることです。私の人生にそのような目的を与えてくれたイエス様に感謝しています。私の全ての行いの中心にいるのは、イエス様なのです」と言う。
チェン氏が、キリストの元に来るようになったのは十代の頃。テネシー州ナッシュビルの中心街に伝道旅行に行ったときのことだった。彼はそこで、他の宣教師たちの働きを通して啓発され、「喜びは目に見えるものから来るのではなく、もっと優れたものによってもたらされる」という結論に至った。伝道旅行から戻った彼は、本当に神が自分に語り掛けたのだと人々に話したという。
チェン氏はその後、牧師になろうとして神学校への入学を考えたが、高額な学費のため、全く別の選択をする。株取引の世界に入り、大きな収益をもたらす計算方法を開発したのだ。メリーランド州出身だったチェン氏は、最終的にウォール街で活躍するようになり、リーマン・ブラザーズやシティバンクなどの企業で働くため、ニューヨークに移り住む。チェン氏は、2008年から09年の世界的な金融危機(リーマン・ショック)の時でさえ驚異的な成功を収めたが、それにもかかわらず金融界には安住しなかった。
「あの頃は私の人生の中でも驚きの連続でした。しかし、ある時点で目が覚めました。金融取引よりも、もっと重要なことが人生にはあると気付いたのです」。その後、チェン氏は、モバイル・アプリケーションの開発に目を向けるようになり、フィッシャーマン・ラボを共同設立し、グローバイブルのCEOに就任した。
グローバイブルは、聖書研究アプリの一種で、強調表示やカラー表示を使った単語検索機能により、ユーザーは特定の単語が使われている聖書箇所を聖書全体から探し出したり、その単語に関連する聖書箇所を検索したりすることができる。また余白欄にメモを書き込んだり、前に読んでいた箇所に戻ったり、脚注やポップアップメニューを参照することもできる。グローバイブルはこれまでに、世界で300万回余りダウンロードされているという。
聖書全体から1つの単語を探し出せる機能は、このアプリの強みの1つに過ぎない。「例えば教会の場合、連続説教用に教会独自の計画を立てたり、教会独自の課題設定をしたりすることもできます」とチェン氏。また、教会は独自の聖書アプリを作る必要もなく、「教会は、〇〇教会聖書という形で教会名を付けた聖書を信徒に持たせることができますので、(信徒は)連続説教の一環として、通読計画に沿って聖書を読むことができます」と言う。
宣教団体や教会、出版社、牧師たちがグローバイブルを用いることで、会衆は聖書箇所を参照しながら動画を見たり、説教を聞いたりできる。また聖書箇所を見ながら、注解書や聖書研究ツールを使ったり、聖書の世界をバーチャルツアーしたりすることもできる。グローバイブルの開発者によると、こうした機能を全て兼ね備えた聖書アプリは、グローバイブルが世界で初めてだという。