現代版使徒の働きと称される『天国の人』という本があります。宣教師の間ではウィン兄弟(Brother Yun)として知られるリュウ(Liu Zhenying)さんは、1958年に中国河南省にある農村の貧しい家庭に生まれました。彼は1974年に父親のがんが奇跡的に癒やされるのを見てイエス様を受け入れ、福音伝道者の道を歩み始めました。
しかし、その道は決して平坦ではありませんでした。彼は中国政府のひどい迫害の中、30回以上逮捕されて大変な拷問を受け、その過程において「天国の人」(The heavenly man)と呼ばれるようになったのです。
ウィン兄弟は中国共産体制の維持のために政策的に作られた三自愛国運動を拒み、地下教会である家庭教会を中心に働きながら多くの迫害を受けました。しかし、彼の行く先々にて多くの奇跡と癒やしの御業が起き、数多くの人々に福音が伝えられました。
そんな中、ウィン兄弟は1997年9月に中国を脱出してドイツに亡命し、現在は世界各地を巡りながら中国教会の宣教ビジョンである「バック・トゥー・エルサレム」(Back to Jerusalem)運動のために全力を注いでいます。
こんなウィン兄弟が幼かった頃、イエス様を初めて信じたときのことです。中国政府が文化大革命を始め、聖書を没収したために、中国では聖書を読むことができませんでした。しかし、ウィン兄弟は聖書を読みたいと思いました。それで1日に2食を断食しながら、聖書を下さるよう神様に切に祈りました。幼い彼の切なる祈りが神様に届き、ある日、彼に幻が与えられました。ある老人が彼に聖書を手渡す幻でした。
その後、少したってから、その幻のごとく、ある老人が彼を訪ねて来て聖書をくれました。ところが、その老人から聖書を渡されてから一緒に話をしていると、その老人も幻を見てウィン兄弟を訪ねて来たと知りました。
老人は命をかけて聖書を保管していたのですが、ある日、その聖書をウィン兄弟に渡すようにとの幻を見たのです。それでその老人は秘密の場所に隠してあった聖書を取り出してウィン兄弟を訪ねて来たのです。神様はウィン兄弟に聖書を渡すため、ウィン兄弟からは遠く離れていたその老人にも同時に幻を見せてくださったのです。
このように、神様は私たちに必要な全てのものをあらかじめ備えていてくださいます。子どもの祈りに応えられるため、そして神様の御旨を成すため、必要な全てのものをあらかじめ備えておいてくださるのです。
神様は愛する子どもが危険を避けられるような道を備えられ、病気の人には癒やしと健康を備えられ、心のむなしい人には天の慰めを備えられ、葛藤と悩みにとらわれている人には心の平安を備えられ、イエス様を信じる全ての人々のために天国を備えておられます。
神様は、疲れ、弱っている魂に新しい力を与え、悩みのある人には平安を、罪の問題で苦しむ人には罪の赦(ゆる)しの恵みを、貧しさの中にある人々には豊かさを与えることを願っておられます。エホバ(ヤハウェ)イルエの神様が今、私たちにある全ての問題を解決してくださり、助けてくださることを信じなければなりません。
アブラハムが決断して信仰で行い、従ったとき、神様は彼だけでなく、イサクにも大いなる祝福を下さると約束されたことを忘れてはいけません。アブラハムが信仰で従った結果、神様の大いなる祝福がアブラハムとその家庭と子孫全てに臨んだのです。
仰せられた。「これは主の御告げである。わたしは自分にかけて誓う。あなたが、このことをなし、あなたの子、あなたのひとり子を惜しまなかったから、わたしは確かにあなたを大いに祝福し、あなたの子孫を、空の星、海辺の砂のように数多く増し加えよう。そしてあなたの子孫は、その敵の門を勝ち取るであろう。あなたの子孫によって、地のすべての国々は祝福を受けるようになる。あなたがわたしの声に聞き従ったからである」(創世記22:16~18)
お先真っ暗で、神様の約束に従い行く道の途中で試みがやってきても、主の約束の御言葉を掴んで信仰で進み行けば、奇跡はやってきます。神様は子どもの問題と痛みを覚えておられ、解決することを願われる善き神様です。神様は私たちが危機的瞬間に従順することで、信仰の真価を発揮することを願っておられます。
平安な時は喜び、従っていたのに、つらい状況に置かれたからといって信仰を捨てるなら、それは完全な信仰ではありません。私たちの理性と経験に合わないといって、神様に背を向け、御言葉に従わないなら、私たちの信仰は難破船のような信仰です。
まことの信仰とは、理解できない状況においても従うことで、その真価が発揮されるものです。理性的に受け入れられない状況において、いろいろと考えたり秤にかけたりするものではなく、即刻従順するときに、信仰の器も大きくなります。
信仰のある人にとって、危機的瞬間は決して心配すべきことではありません。危機の時こそ、私たちの信仰を試す時です。その試みに決して負けないでください。試みを通して信仰を養い、より大きな恵みを享受してください。もっと大きな祝福の器を準備してください。その時に私たちはエホバ(ヤハウェ)・イルエの神様に出会うことでしょう。
備えてくださる神様を信頼し、その御前でまことの喜びと感謝をもって神様の御旨に従ってください。神様の御言葉は私たちの人生を全てに恵まれるようにする祝福の宝庫です。全てに恵まれるようになるには、神様の御言葉に信仰で即刻従順しなければなりません。
神様の御言葉が、私たちの人生に流れ込んでいくようにしなければなりません。そうすれば、あとは神様が全部やってくださいます。全てのことが美しく、祝福に溢れるようになります。これこそがまさに、キリスト者が即刻従順と絶対信仰によって求めるべき、全てに恵まれる人生です。
(イ・ヨンフン著『まことの喜び』より)
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【書籍紹介】
李永勲(イ・ヨンフン)著『まことの喜び』 2015年5月23日発行 定価1500円+税
苦難の中でも喜べ 思い煩いはこの世に属することである
イエス様は十字架を背負っていくその瞬間も喜んでおられました。肉が裂ける苦しみと死を前にしても、淡々とそれを受け入れ、後悔されませんでした。私たちをあまりにも愛しておられたからです。喜びの霊性とは、そんなイエス様に従っていくことです。イエス様だけで喜び、イエス様だけで満足することを知る霊性です。神様はイエス様のことを指し、神の御旨に従う息子という意味を込めて「これは、わたしの愛する子」(マタイ3:17)と呼びました。すなわち、ただ主お一人だけで喜ぶ人生の姿勢こそが、神の民がこの世で勝利できる秘訣だということです。
(イ・ヨンフン著『まことの喜び』プロローグより)
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