四国電力(香川県高松市)が25日、愛媛県の伊方原発1号機を廃止することを決定したのを受けて、同原発に30年以上反対している「八幡浜・原発から子どもを守る女の会」代表で日本基督教団八幡浜教会(愛媛県八幡浜市)会員の斉間淳子さんは25日、本紙に電話で、廃炉は当然だが喜ぶべきことではないと語り、次のように述べた。
「廃炉にするのは当然といえば当然で、これからお金がかかるからね。それはすごい朗報ではあるけれども、私自身は喜んではいないんですよ。再稼働をやめてくれるほうが先やと思ってね。3号炉の再稼働のことは何も言わんで、住民の気持ちをだましてると思うんですよ。まあ原発のない社会を創るのを目指して政府はやってますよっていうふうな感じでね」
「でもそうじゃなくって、一番肝心なのは、目の前の3号炉再稼働をやめてもらいたいということなんですよ、私たちの願いは。ですから、それで他の住民の人たちが、政府もやっぱり原発のない社会を目指して頑張ってくれてるんやなってとられるんじゃなくて、そうじゃない、3号炉の再稼働をやめることが先決やから」と、『原発とキリスト教』(新教出版社、2011年)で「伊方原発の地元で神を呼び求める」を執筆した斉間さんは続けた。
その上で、10日に官邸で行われた安倍晋三首相の記者会見に触れ、「この間の安倍総理の記者会見は、安全だと分かっているところから動かしていくっていうふうな感じだったでしょ」と語り、「私は来年の夏ぐらいに伊方の再稼働が始まると思うんですよ。そやから、それが気になって気になっていけんのですけどね」と述べた。
斉間さんは、「1号炉を止めたのは当たり前のことで、喜ぶべきことではなくて、私らはもっとこれから先のことを考えないけんじゃないかと思うとるんですよ」と結んだ。
一方、「伊方原発をとめる会」共同代表の須藤昭男牧師(インマヌエル綜合伝道団松山キリスト教会)は同日、本紙に対し、「3月25日の四国電力がようやく廃炉を決定してくれました。これまでにも『廃炉決定』の時はありました」とメールで伝え、「それは経済的にも、技術的にも継続は無理でした」と付け加えた。
「のびのびになり今日にいたったのは『廃炉、という事実を伊方の住民、廃炉の処理とゴミはどうなる・・・』を知らせたくない、そして『3号機の早期稼働にもっていこう』という魂胆ではなかったかと思うのです」と、同牧師はコメントした。
そして、福島出身である須藤牧師は、「5年が経過した福島の現実を見てください。避難者の方々の苦しみ(を)見てください。子どもの健康を考え全てを廃炉、処理して自然豊かな愛媛、日本を失ってはなりません」と訴えた。
なお、伊方原発をとめる会は25日、「四国電力の伊方原発1号機廃炉表明についての『見解』」を公式サイトで発表した。