北朝鮮の国境に隣接する中国吉林省延辺朝鮮族自治州の延吉で北朝鮮を脱出した住民の亡命を手助けしていた韓国人牧師(57)が2000年1月から行方不明になっていた事件で、日本の有力紙各紙は15日、この牧師が北朝鮮で工作員教育を受けた朝鮮族男性(35)らに拉致されていたことが14日明らかになったと伝えた。韓国の公安当局は、その後韓国に入国したこの朝鮮族男性を国家保安法違反、拉致監禁の疑いで14日までに逮捕した。男性は、牧師拉致に関して大筋で認めているという。
14日付朝鮮日報など韓国マスコミの報道によると、拉致されたのは米国永住権を持つ金ドンシク牧師。金牧師はさる95年から中国で宣教活動と脱北者支援を行っていた。99年11月、脱北者11人を第三国を通じて韓国に亡命させたのを機に北朝鮮当局から「除去対象」に挙げられていたという。2000年当時から金牧師は拉致されたと見られていたが、今回、朝鮮族の男の逮捕でこれが確認された。金牧師は現在、平壌に滞在中との情報もある。
韓国クリスチャントゥデイ紙は16日、韓国の保守派諸団体は政府に対し北朝鮮に謝罪と人質解放を求めるよう要請したと報じた。
公安当局によると、北朝鮮に拉致されたとされる韓国人は今年12月までに468人に上った。