南北2半球のキリスト教指導者が2月15日に開かれた世界教会協議会(WCC)で共に集まり、異文化、文明衝突について協議するという歴史的イベントが開催された。
世界が急激にグローバル化する中、ロシア正教会キリル府主教と全アフリカ教会会議事務総長Mvume Dandala牧師が現代における挑戦についてそれぞれビジョンを語った。
ロシア正教外交部門議長を務めるキリル氏はどのようにロシアの宗教間関係を「きわめて平和な」ものにするかについて語り、宗教間の関係性では双方を尊重しながら特別な注意を払いつづける必要があると述べた。
ロシアの大多数の教会はロシア正教であるが、ロシアには10%ほどのイスラム教徒と残り10%の他宗教者が存在しているという。
またロシアにおいて異文化、異宗教間の関係性をグローバル化の波の中で検討するため、7月のセイントピーターズバーグにおけるG8サミット開催を前に異宗教間サミットを開催する予定だという。
キリル府主教は「異宗教間の対話」を通して相互理解することが重要であるとWCCで主張した。
さらに、キリル府主教は宗教界と世俗界の間にある大きな隔たりを指摘した。キリル府主教によると、「21世紀において最も重要な問題は、宗教的価値観と世俗的価値観のバランスが取れるか否かということである」という。キリル府主教はデンマークにおける風刺漫画を典型的な例として挙げ、「私はこれらの価値観が均衡を保てるという考えを未だにもっている。勿論、それには大変な労力を要するが、実現可能なことであると考えている」と述べた。
全アフリカ教会会議事務総長のDandala牧師はグローバル化はアフリカ大陸に大きな脅威をもたらしていると警告した。
Dandala牧師は「アフリカでしばしば問われるのは、グローバル化によってアフリカ文化、アフリカ言語が消失してしまうのではないか、という疑問である」という。その例としてDandala牧師は多様なアフリカ言語の消失を挙げ、「一つの言語が消滅するとき、しばしばその言語を形成した文化や歴史的遺産も共に消失してしまうことがある。私たちにとってグローバル化に対する疑問はとても現実的で、『どのように私たちの遺産を保護するか』ということにある」と述べた。
Dandala牧師によると、全アフリカ教会会議はその加盟教会と親密に活動し、深い次元でこのような問題を神学的に考察してきたという。
またDandala牧師は、グローバル化が進む中で宗教は良い意味にも悪い意味にも作用しうることについて、宗教がアパルトヘイトにおいて壊滅的な差別をもたらしたという過去の汚点に触れた。しかしながら、宗教は人々にアイデンティティーを与え、「私たちは皆人間であり、互いを労わり合わなければならない存在である」ということをよく説明できるものであることも述べた。
Dandala牧師は、どのように今日の世界の多様化が祝福されたものとなるのかについて、「最も考えるべきことは、地球上全ての人々が精神的に豊かになるために、多様性をどのように用いるかということである」と語った。