ブッシュ政権がエイズ対策に教会団体のような新しい組織団体を関与させようと呼びかけたことにより、信仰団体がブッシュ大統領から150億ドルにも上るエイズ対策助成金のうちの大部分を受け取った。
国際人道支援団体"CARE"アフリカ南西部副理事長のダン・ムリンス氏は「私たちはエイズ対策に関して信仰団体と共に働くことは非常に重要であると認識しています。」と述べたという(AP通信)。今まで長期間エイズ対策に関わってきた非営利大団体と宗教団体が資金の獲得で競争しており、すでにエイズ対策資金の4分の1の助成金が宗教団体に渡されたという。
HIVウィルスの蔓延を防ぐための議論として、多くのアウトリーチとしての活動が該当国と地域レベルで結びついており、売春婦に呼びかけたりコンドームを配ることよりもむしろ自制や貞節といった道徳的観念を教えることが特に取り上げられている。
世界的なエイズ対策には宗教団体と共同活動する必要性をムリンス氏は理解しているが、一方で宗教団体の主張すること全てが正しいと認識するような過ちには陥りたくないとも語っている。
世俗団体は、今回の宗教団体に対する多額の助成金の割り当てについて、まだエイズ対策を経験したことのない宗教団体に助成金を多額に与えることでブッシュ政権のエイズプログラムのインパクトが薄まるのではないかと懸念しているという(AP通信)。
今まで宗教団体は地球規模の危機や緊急対策への呼びかけに対する関わりに欠けているという認識がもたれていたが、米国の大きな教会組織がその壁を壊した。
サドルバック教会のリック・ウォーレン牧師とウィロークリーク教会ビル・ハイベル牧師は地元の教会で3日間に亘るエイズ対策会議を催す予定だという。これは地元教会で開かれる最初の国際会議で、何百万もの教会に対し、エイズ対策に協力するよう呼びかけることが目的であるという。
また4カ国における自制活動のための助成金として970万ドルを受け取ったキリスト教団体"World Relief"もキリスト共同体のますます強化されるエイズ対策に対する努力を認識している。米国福音協会の人道支援部門として"World Relief"は雇用機会やカウンセリングなどを地元の教会信徒を通してエイズ患者に提供している。
他にも「サマリヤ人の財布」、「ワールド・ビジョン」、カトリック救援サービス、「HOPE」などの信仰団体が政府からエイズ対策の助成金を獲得した。
ブッシュ政府はエイズ対策のために信仰団体など新規団体に支援の手を差し伸べている。またアフリカの13カ国、ハイチ、ベトナムのようなエイズ対策の手が十分に行き届いていない地域に焦点をあわせているという。