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聖書原語への招き

聖書原語への招き─霊に燃え、主に仕えるために(8)いと高き所から力を着せられる 白畑司

2026年5月7日19時32分 コラムニスト : 白畑司
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「いと高き所から力を着せられる」の理解と体験のため、ルカ24章46〜49節を深堀りし、今の私たちへの主イエス様からのチャレンジを共に受けていきたいと願っています。

以下のアウトラインに沿って、理解と考察を進めます。

  1. 1世紀ユダヤ教の聖書理解
  2. イエスの聖書解釈の特徴
  3. ルカ24章48、49節のギリシャ語原文
  4. ギリシャ語での「ἐνδύω(着る)」の理解
  5. ギリシャ語での「力」の理解
  6. 「力を着る」の聖書の用例と勧め
  7. 「力を着る」のジョン・G・レイク博士の体験談

1.1世紀ユダヤ教の聖書理解

① 聖書は最高の権威を持つ、誤りなき神の言葉である。
② それ故、聖書に書かれている預言は全部成就する。
③ 今が、聖書で預言されている終わりの時である。

救いを頂き、聖書を神の言葉と信じて聖書に従って歩む私たちは、この点で、1世紀のイエス様の弟子たちと理解を共有しています。

2. イエスの聖書解釈の特徴

1世紀ユダヤ教は「書物の宗教」であり、律法・預言書・諸書が生活と信仰の中心だったと記されています。書物は神の意志の啓示として扱われ、家庭・会堂・学校で継続的に学ばれました。その専門家として律法学者、パリサイ人たちがいました。

しかし、主イエスの聖書解釈は、1世紀ユダヤ教の枠内にありつつ、その中心を大胆に再構築する「権威的・終末論的・人格中心的」な特徴を持っていました。「まことに、まことに、わたしはあなたがたに告げます」など、ユダヤ文献に前例のない「自己を起点とする権威宣言」で解釈しました。

主イエスは、解釈の最終基準が「自分自身」であり、神の意志の直接的代弁者として語りました。よみがえった後に、次の3つのポイントで、聖書全体を「自分自身に関する物語」として再構成しました。1)キリストの苦しみ、2)死人からのよみがえり、3)罪の赦(ゆる)しを得させる悔い改めが、エルサレムからあらゆる諸国民に宣(の)べ伝えられること。

主イエスがこの話をなさっている時点で、1と2は実現しました。そして、残っている3がこれから展開されていくことが、必ず成就することとして語られています。

主イエスがこの言葉を語って以来、2千年が経過している今、私たちは「福音があらゆる諸国民に宣べ伝えられている」事実を、驚きと聖なる畏れを覚えつつ体験しています。

3. ルカ24章48、49節のギリシャ語原文

ギリシャ語新約聖書のインターリニアで、ルカ24章48、49節を示します。

聖書原語への招き─霊に燃え、主に仕えるために(8)いと高き所から力を着せられる 白畑司

文頭の「ὑμεῖς(ヒュメイス:あなたがた)」は、代名詞の主格で、強調されています。「あなたがた」とは、直接的には、イエス様にガリラヤからずっとついてきて、イエス様の教えと働きを直接見聞きし、新しい契約を結び、イエス様の十字架と復活の目撃者となり、よみがえったイエス様から直接、聖書の意味と目的を教えられた使徒たちとその仲間たちです。間接的には、悔い改めてイエスを主と告白し、信じ、イエス様の言葉に従っている全ての信仰者たちです。

「証人」とは、1世紀のユダヤ・ローマ世界では次のような意味合いがありました。①法廷・契約の証人:1世紀ユダヤ社会では、証人は事実を確定するための公的役割を担い、虚偽証言は神の裁きを招く重大な罪と理解されていました。この背景を踏まえ、弟子たちは神の救いの働きの「法廷証人」として資格を公に与えられ、宣言されました。②歴史的事実の証言者:ルカ1章2節では「最初からの目撃者」を強調し、ルカ24章48節でそのクライマックスとして弟子たちを公式に任命されました。

聖書原語への招き─霊に燃え、主に仕えるために(8)いと高き所から力を着せられる 白畑司

24章49節は、この段落の最後の部分です。「証人」が単なる口先や言葉だけでなく、「証言者」の迫力や威力を聞く人々に示していくため、「いと高き所から力を着せられる」と約束されました。ここでも「ἐγὼ(エゴー:私)」と「ὑμεῖς(ヒュメイス:あなたがた)」が強調を表す代名詞主格として用いられ、主イエスの役割と、弟子たちの役割が明確にされています。

4. ギリシャ語での「ἐνδύω(着る)」の理解

「着る」と訳されているギリシャ語は「ἐνδύω (エンドゥオー)」です。この語は、「~の中」を意味する前置詞「ἐν(エン)」と「沈む、中へ行く、突入する」を意味する動詞「δύω(ドゥオー)」から成る合成語です。古典ギリシャ語の元々のイメージは「衣服の中に入り込む」「衣服に沈み込むように身を通す」という意味です。

1世紀の長衣(キトーン)を「着る」動作を分解してみると、次のようになります。1)衣を広げる:筒状の衣を持ち上げ、頭を通す穴を探す。2)頭を通す:自分の頭をその穴に「入れていく」。3)肩に落とす:布が肩に「沈み込む」ように落ち、体を包む。4)腕を通す:袖または脇の開口部に腕を「差し入れる」。5)体全体が布の中に収まる。

衣服の「内側」に体があり、外からは布が見えるこの一連の動作は、まさに 「自分が衣服の中に入っていく(ἐν + δύω)」 というイメージを実生活で体験するものです。ですから、ルカ24章49節の「ἐνδύσησθε δύναμιν」は、「力を身に付ける」というより、「力という衣の中に、自分が入り込んで包まれる」という意味に近いと言えます。この表現は単なる比喩ではなく、1)存在の状態変化、2)宣教能力の付与、3)聖霊降臨(ペンテコステ)の示唆を含んでいます。

衣服は生活の基本的必需品であるだけでなく、社会的地位、機能、個性、心の状態を伝える役割も果たしています。古代世界では、衣服は高価な投資であり、それ故、貴重な財産として取引されたり、征服の戦利品として没収されたりしました。

エペソ4章8節には「高い所に上られたとき、彼は多くの捕虜を引き連れ、人々に賜物を分け与えられた」とあります。ですから「いと高き所から力」を着せられるとは、弟子たちにとって、勝利者キリストが敵から奪い取った、神の救いの働きを進展させ、あらゆる国民に罪の赦しに至らせる悔い改めを、権威ある伝令官らしく、喜びの知らせ、勝利の知らせとして広く告知する(ケリュッソー:宣べ伝える)ために、霊的な服を「着る」ことを意味します。

5. ギリシャ語での「力」の理解

ギリシャ語のネストレ27(28)で、強調位置にあるこの箇所の最後の語が、「δύναμις(ドュナミス:力)」の対格単数「δύναμιν(ドゥナミン)」です。ドュナミスは名詞として最も頻度が高い「力」を表す語です。ダイナマイトの語源で、その意味は「内在的な能力」を表し、「奇跡、力あるわざ」と訳されることもあります。

特に、以下のような、ルカ福音書での主イエスとの関係におけるドュナミスの用例は、大いに注目すべきです。

イエスは御霊の力を帯びてガリラヤに帰られた。(ルカ4:14)

イエスは、主の御力をもって、病気を直しておられた。(ルカ5:17)

大きな力がイエスから出て、すべての人をいやしたからである。(ルカ6:19)

6.「力を着る」の聖書の用例と勧め

聖霊の力によって望みにあふれさせてくださいますように。(ローマ15:13)

そして、私のことばと私の宣教とは……御霊と御力の現れでした。(Ⅰコリント2:4)

私たち信じる者に働く神のすぐれた力がどのように偉大なものであるかを……(エペソ1:19)

7.「力を着る」のジョン・G・レイク博士の体験談

ジョン・G・レイク博士の著書『Strategy For The Healing(癒やしのための戦略)』(邦訳なし)から一部を紹介します。

私の魂は言葉にできないほどの切望をもって神に叫んでいました。すると突然、私は暖かい熱帯の雨のシャワーを浴びたように感じました。それは私の上に降り注いでいるのではなく、私を通り抜けているのでした。この影響下で、私の霊と魂と体は、かつて知ったことのないような深い静けさに落ち着きました。……力の流れが、私の頭のてっぺんから足の裏まで、私の存在全体を駆け抜け始めました。力の衝撃は速さと電圧を増しました。これらの力の流れが私を通り抜けるとき、それらは私の頭に来て、私の体を通り、私の足を通って床に落ちていくように見えました。その力は非常に大きく、私の体は激しく震え始めました。

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※ 本コラムでは、特に断りのない限り、聖書の引用は新改訳(第3版)を使用しています。

◇

白畑司

白畑司

(しらはた・つかさ)

1949年山形県生まれ。同県米沢市の福田町キリスト教会(現恵泉キリスト教会米沢チャペル)で信仰を決心。山形大学大学院でレーザーのコヒーレント効果を研究。日本電信電話公社(現NTT)電気通信研究所に在籍する。召命の御言葉で献身し、聖書神学舎(現聖書宣教会)で学ぶ。御徒町キリスト教会牧師を経て、84年から市ヶ尾キリスト教会の開拓伝道に従事。現在同教会主任牧師。カルバリー聖書学院(大川従道院長)で20年余り、新約聖書とギリシャ語の科目を担当。著書に『インターリニア新約聖書』(全32巻、2001〜04年、ポーロス会)。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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