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聖書原語への招き

聖書原語への招き─霊に燃え、主に仕えるために(3)思ったよりハードルの低い聖書ギリシャ語の学び 白畑司

2026年2月26日21時40分 コラムニスト : 白畑司
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ギリシャ語と聞くと、難解なイメージがあるかと思います。しかし、ギリシャ語の入り口は簡単です。驚きと興奮の聖書ギリシャ語の世界が、あなたを待っています。

まずは最初の一歩として、一般的な日本語に、ギリシャ語が入っていることを確認しましょう。ギリシャ文字とギリシャ語の単語でさっと見ていきます。

おなじみのギリシャ文字

ギリシャ語の最初の文字は、アルファです。誰もが知っている「アルファベット」という言葉は、ギリシャ文字の最初の2文字「α(アルファ)」と「β(ベータ)」に由来しています。アルファは、英語ではアルファベットの最初の文字Aに相当します。

給与がプラスアルファと聞くと、うれしくなります。トヨタの車に、プリウスアルファがあります。同じトヨタのアルファードは「星座の中で最も明るい星」を意味する造語で、ギリシャ語の「Alpha(アルファ)」に由来しています。接着剤のアロンアルファもあります。

数学でおなじみのギリシャ文字は「π」です。「パイ」と読んでいますが、ギリシャ語での発音は「ピー」です。科学の世界では、ギリシャ文字がびっしり並んでいます。

ギリシャ語の単語

単語レベルでは、メガ(大きい)、ミクロ(小さい)、エゴ(私)、カリスマ(御霊の賜物)、トラウマ(外傷)、セラピー(奉仕・世話・治療)、アロマ(香り・芳香)など、次から次にギリシャ語が出てきます。

聖書ギリシャ語は、ちょっとのぞくだけでも面白い

ギリシャ語は、少し深掘りするだけで、その面白さを味わうチャンスがやってきます。ここでは、前置詞、名詞、動詞の3つの例を示します。

前置詞

ギリシャ語の前置詞は、単語としてはとても覚えやすいものです。

使徒の働き2章3節は、新改訳で「炎のような分かれた舌が現れて、ひとりひとりの上にとどまった」と訳されています。ところで、「〜の上に」という前置詞からは、どんなイメージが思い浮かぶでしょうか。

この前置詞は「エピ」、直接接している直付けの上を意味します。この時の弟子たちの体験を想像してみましょう。もし自分の頭の上に炎のような舌が直接とどまった(直訳は「座った」)としたら、どうでしょうか。

その舌は熱かったかもしれませんし、もしかしたら電流のようなものが流れていたかもしれません。これまで一度も体験したことのない「炎のような分かれた舌」の着座によって、自分の理性、知性、理解を全く超越した体験をし、自分の意志とか思いを超えて「他国のことばで話しだした」様子をイメージすることができるのではないでしょうか。

名詞

クリスチャンであれば「ロゴス」「アガペー」「カリスマ」などは、何度も耳にしたことがあると思います。

日本語で「ことば」と訳されているギリシャ語には、「ロゴス」と「レーマ」があります。「初めにことばがあった」(ヨハネ1:1)の「ことば」は「ロゴス」で「人は……神の口から出る一つ一つのことばによる」(マタイ4:4)の「ことば」は「レーマ」です。

これは、ギリシャ語の同義語として知られるテーマの一例です。ちなみに、これらの同義語は、表現力の豊かさを示す一つの領域で、数え方にもよりますが40〜100ペアあるといわれています。

また、愛を意味する「アガペー」は、最も権威あるバウアーのギリシャ語レキシコン(辞書)で、「この語は多神教的ギリシャ文学にほとんど痕跡を残していない」と書かれています。ですから、「アガペー」という言葉が出てくる箇所で実は、私たちは「人知を超えた神の愛」に触れていることになります。

動詞

ギリシャ語の動詞は、時制、叙法、態、人称があり、学ぶ人にとっての宝の山です。

私たちは時制(テンス)と聞くと、時間をイメージします。しかし、ギリシャ語の視点からは、時間以上に動作の相(アスペクト)が重視されています。

例えば、「群衆のだれもが何とかしてイエスにさわろうとしていた。大きな力がイエスから出て、すべての人をいやしたからである」(ルカ6:19)では、下線部はいずれも過去の継続動作、連続動作を表す未完了形です。

そこで、この未完了の相を考慮すると、次のように訳すのが自然です。「群衆のだれもが何とかしてイエスにさわろうとしきりに努めていた。大きな力がイエスから次々に出ていき、すべての人を次々にいやしたからである」。この場面は未完了形の時制なので、静止画像ではなく、人々の熱気と懸命さと驚きが容易に想像できる動画のような臨場感を伝えているのです。

マタイの福音書27章51〜53節では、十字架の上で息を引き取られたイエス様に関連して、アオリスト形受動態の動詞が5つ連続で出てきます。この受動態は、ディバインパッシブと呼ばれ、神が行為者であることを避けるために、意図的に用いられました。

主イエスの十字架の死に至るまでの従順さに対する、父なる神からの即座の応答の表現です。5が祝福を表す数であり、また、マタイの福音書が5大説教で構成されていることを視野に入れ、クライマックスの場面で意識的にこのように表現したとすれば、もう感動でいっぱいです。

聖書ギリシャ語は、すぐに役立つ

ギリシャ語で最も頻度が高い語が、冠詞です。この冠詞が単語の前にあるかないかで、意味が決定的に違ってきます。

ローマ人への手紙8章6節に、「肉の思いは死であり、御霊による思いは、いのちと平安です」とあります。ギリシャ語本文では、それぞれの主語の「思い」には、冠詞が付いています。しかし、述語の「死」「いのちと平安」には、冠詞が付いていません。

冠詞が付いている名詞は、特定の内容を指します。しかし、冠詞のない名詞は、一般的には性質を表します。ですから、肉の思いは、死の性質を持っていること、御霊の思いには、いのちと平安の性質があることを示しています。

これによって私たちは、思いの中を駆け巡る多種多様なものを、罪に傾く肉からのものか、信じた人だけに与えられている御霊から来るものであるのか、はっきり識別していくことができます。

聖書ギリシャ語は、クリスチャンの生涯学習の最高級コースの一つ

「草はしおれ、花は散る。しかし、主のことばは、とこしえに変わることがない」(Ⅰペテロ1:24b、25)。次々に変わるこの世の中で、翻訳された聖書の訳語も変わります。しかし、ギリシャ語の原典は変わりません。ですから、超スローペースであれ、速習コースであれ、聖書ギリシャ語の学びは、クリスチャンの生涯学習として、最高級コースの一つであると確信しています。

「機会を十分に生かして用いなさい。悪い時代だからです」(エペソ5:16)の勧めの中に、聖書通読だけでなく、聖書ギリシャ語の学びも入っているように思うのは、私だけでしょうか。

聖書ギリシャ語は、時代が変わっても、決して古くなりません。「持っている者はさらに与えられて豊かになり、持たない者は持っているものまでも取り上げられてしまう」との主イエスの言葉は、この聖書ギリシャ語の学びにも適用されると思います。

今が、聖書ギリシャ語の学びのチャンス

今は、聖書ギリシャ語の学びの素晴らしいチャンスの時代です。「Copilot(コパイロット)」「Chat(チャット)GPT」など、AIが普通に使われています。あなたの手元に、ギリシャ語新約聖書がなくても大丈夫です。

例えば、インターネットで Copilot、ChatGPT などを開き、AIにこう質問します。「マタイ6:33をギリシャ語本文で解説してください」。すると数秒で、ギリシャ語、カタカナでの読み、それぞれの訳語、解説と続きます。聖書ギリシャ語の学びのために、新しい何かが始まります。

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※ 本コラムでは、特に断りのない限り、聖書の引用は新改訳(第3版)を使用しています。

◇

白畑司

白畑司

(しらはた・つかさ)

1949年山形県生まれ。同県米沢市の福田町キリスト教会(現恵泉キリスト教会米沢チャペル)で信仰を決心。山形大学大学院でレーザーのコヒーレント効果を研究。日本電信電話公社(現NTT)電気通信研究所に在籍する。召命の御言葉で献身し、聖書神学舎(現聖書宣教会)で学ぶ。御徒町キリスト教会牧師を経て、84年から市ヶ尾キリスト教会の開拓伝道に従事。現在同教会主任牧師。カルバリー聖書学院(大川従道院長)で20年余り、新約聖書とギリシャ語の科目を担当。著書に『インターリニア新約聖書』(全32巻、2001〜04年、ポーロス会)。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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