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シリア語の世界

シリア語の世界(46)東方教会の教理問答書①「あなたの名前は何ですか」 川口一彦

2026年3月26日22時49分 コラムニスト : 川口一彦
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今回から東方アッシリア教会の信仰教理問答を紹介する。シリア語聖書による学びは、東方書体で記していく。

東方教会の教理問答書『メシアの教え(メシアニック・ティーチング)』

問1:あなたの名前は何ですか。
答え:私の名前は〇〇です。

問2:その名前はいつ受けましたか。
答え:洗礼を受けたときです。

問3:洗礼を受けたとき、どのような者になりましたか。
答え:キリスト者になりました。

問4:古代のキリスト教徒はどんな名前を持っていましたか。
答え:ナザレ人です。

問5:ナザレ人とはどういう意味がありますか。
答え:イエスの教えに従う人のことであり、イエスはナザレ人と呼ばれ、イエスを信じた使徒パウロもナザレ人の信徒と呼ばれました(使徒24:5、マタイ2:23)。

問6:他にこの名前で呼ばれていましたか。
答え:古代のペルシアの信徒と彼らに加わった全ての人々は、この名前で呼ばれていました。現在までこの名前は東方教会の古代キリスト教徒を指してきました。しかし、欧州のキリスト教徒に加わる人々には特別な名前があり、ローマ教皇の信徒は「ローマ・カトリック教徒」、他の人々はローマ・カトリック教会から出たプロテスタント教会の信徒と呼ばれています。

問7:なぜあなたはキリスト教徒と呼ばれるのですか。
答え:私はイエス・キリストの命令により、父・子・聖霊の御名において水の洗礼を受けました。これにより、私はイエス・キリストの肢体、つまり「手足」となりました(マタイ28:19)。

問8:ではこのメンバーの資格はどうなりましたか。
答え:私は神様の子とされ、天国の相続人となりました。

問9:全てのキリスト教徒は何を信じますか。
答え:彼らはイエスが聖霊によって教会に一度だけ教えられたこと、そして聖書が教えていることを信じなければなりません。聖書は「聖徒たちにひとたび伝えられた信仰のために熱心に戦いなさい」と勧めています。

問10:あなたはどの信条で信仰告白しますか。
答え:ニケア信条です。

問11:その信条を言えますか。
答え:はい。「私たちは見える者、見えないもの、全てのものの創造主である全能の唯一の父なる神を信じます。また私たちは唯一の主イエス・キリストを信じます。彼は神の御子で独り子、全ての被造物の最初の子で、全世界が存在する前に父から生まれ、造られた者でなく、真の神からの真の神、父と本質は一つであり、彼の手によって世界は確立し、創造されました。彼は私たち人間のため、人間の救いのために天から降り、聖霊によって受肉し、人となり、処女マリアから生まれました。彼はポンテオ・ピラトの時代に苦しみを受け、十字架につけられました。彼は埋葬され、聖書に書かれている通りに3日目によみがえり、天に昇り、父なる神の右に着座されました。そして彼は、死んだ者と生きている者を裁くために、再び天から来られます。そして、私たちは父から発する唯一の聖霊、真理の霊、命を与える霊を信じます。そして、私たちは唯一の聖なる使徒的公同の教会を信じます。そして、私たちは罪の赦(ゆる)し、私たちの体の復活と永遠の命を信じ、そのための唯一の洗礼を告白します。アーメン」

問12:ニケア信条はいつ制定されましたか。
答え:紀元325年、ニケア(現トルコ共和国西部イズニク)で318人の指導者(司教)たちによります。「聖徒たちにひとたび伝えられた信仰」から選ばれたと告白されました。

(注)381年のコンスタンティノープル信条は、ニケア信条から幾つかの節を取り上げて、意味を解説し、確認した。それ以来、東方教会はそれを変更することなく使用してきた。これが問11の答えである「ニケア・コンスタンティノープル信条」で、西方教会の多くの信徒にはなじみのない信条である。

(著者記)西方教会(特にローマ教会、プロテスタント諸教会)は、一般的に古ローマ信条から受け継がれてきた基本信条の「使徒信条」を告白している教会が多い。東西教会の信条の違いの一つとして「聖霊の発出」があり、西方教会は聖霊が「父と子より」発出すると、「子より」を書き加えたことから、東西教会の分離が起きたと言われている(「子より」は589年のトレド会議で加わる)。

(続く)

■ シリア語聖書による学び:テモテへの手紙第一3章16節(シリア語は東方アッシリア教会で使用される東方書体)

シリア語の世界(46)東方教会の教理問答書①「あなたの名前は何ですか」 川口一彦

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※ 参考文献
『MESSIANIC TEACHINGS OF THE HOLY APOSTOLIC AND CATHOLIC CHURCH OF THE EAST』(1962年)
川口一彦著『古代シリア語の世界』(イーグレープ、2023年)

◇

川口一彦

川口一彦

(かわぐち・かずひこ)

愛知福音キリスト教会(日曜と火曜集会)ならびに名古屋北福音キリスト教会(水曜集会)の宣教牧師。フェイスブックで「景教の研究・川口」を開設。「漢字と聖書と福音」「仏教とキリスト教の違い」などを主題に出張講演も行う。書家でもあり、聖書の言葉を筆文字で書いての宣教に使命がある。大学や県立病院、各地の書道教室で書を教えている。基督教教育学博士。東海聖句書道会会員、書道団体以文会監事。古代シリア語研究者で日本景教研究会代表。特に、唐代中国に伝わった東方景教を紹介している。著書に『景教—東回りの古代キリスト教・景教とその波及—』など。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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