前回からの続きで、以下は東方シリア正教会の典礼の祈り。エルサレムの初代大司教で殉教者、使徒ヤコブが主イェシュアの口から学んだ祈り文とのことである。
平和の前の祈り(前回からの続き)
声を大きくした連祷が続く。
「主(神アロホ)よ、悪い者たちのあらゆる反乱、悪魔の攻撃と抑圧、そして私たちの罪によってもたらされるあらゆる災いから私たちをお救いください。あなたの聖なる戒めを守るよう私たちを導いてください。あなたは慈しみ深い主で、私たちはあなたとあなたの独り子に栄光をささげます」
「主よ、私たちと共に立って祈る両親、兄弟姉妹、私たちのもとから天に帰った者たち、そしてささげものをしたくてもできなかった者たちを覚えていてください。そしてそれぞれの善き願いをかなえてください」
「主よ、あなたの広大な天で彼らのささげものを受け入れてください。あなたの救いを喜び、救いにふさわしい者としてください。あなたの力により彼らを強くしてください。あなたの霊の武具で強くしてください。あなたは慈しみ深い方で、私たちはあなたとあなたの独り子に栄光をささげます」
「あなたは、あなたに望みを置く全ての人にとって救い主で助け手、そして勝利を与えられる方。私たちはあなたに栄光をささげます。主よ、あなたは生と死を支配される権威をお持ちの方。聖なる父祖たち、預言者たち、使徒たち、御子を産んだ母マリア、洗礼者ヨハネ、殉教者ステファノ、そして全ての義人たちを覚えてください」
「主よ、大司教、使徒ヤコブから今日まで、あなたの教会における正統な信仰を証ししてきた真の羊飼いたちを覚えていてください」
「異邦人、王たち、イスラエルの子らの前にあなたの聖なる御名を伝えた者たちを覚えていてください。そして、私たちを悩ます異端者たちを取り除いてください。あなたの栄光ある御座の前に立つにふさわしい者としてください。あなたは聖なる方、聖徒たちを聖とされた方、私たちはあなたとあなたの独り子に栄光をささげます」
「万物の支配者である主よ、正統信仰を持って私たちのもとから天に帰った者たちに安息を与えてください。彼らを御顔の光で輝かせてください。そして彼らを裁かないでください。あなたの独り子以外にあなたの御前に罪のない者はなく、独り子を通してのみ憐(あわ)れみを見いだすからです」
会衆「取り除いてください」
「考え、言葉、行いにおいて犯した私たちの罪を取り除き、赦(ゆる)してください。明らかにされたもの、隠されたものも、あなたには全てが明らかですから。主よ、私たちを終わりまで罪のないままに保っていてください」
祭司はパンを取り、十字を結ぶ。
「まことに主なる神よ、私たちを耐えがたい誘惑に陥らせないでください。私たちを悪からお救いくださり、誘惑から逃れる道を備えていてください。私たちはあなたと独り子との豊かな憐れみに栄光と感謝をささげます」
会衆「あなたの聖霊と共に」「平和」「私たちへの祈りと共にとこしえまでも」
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これで、礼拝での祭司と会衆との三一神への連祷は終了。(一部省略しました)
■ シリア語聖書による学び:シリア語の「パン」について
旧約時代には、パンは神の供えのパンとして幕屋や神殿に置かれ、神の臨在の象徴でした。イェシュア・メシハ(イエス・キリスト)は「わたしはいのちのパンです」と宣告され、十字架上で裂かれ、屠(ほふ)られました。
彼は、罪も汚れもない命のパンとして信じる者を救い、永遠の命を与え、聖餐のパンとして再臨までご自分を覚えて食せよと命じられました。使徒時代の諸教会の一つ、コリント教会へのパウロの手紙には、聖餐式の様子が伝えられています。


※ 参考文献
『Invitation to Syriac Christianity』(University of California Press、2022年)
川口一彦著『古代シリア語の世界』(イーグレープ、2023年)
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