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シリア語の世界

シリア語の世界(38)マル・マリの働き①出て行って、弟子とせよ 川口一彦

2025年12月7日20時35分 コラムニスト : 川口一彦
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関連タグ:川口一彦

マル・マリは、イエスの70人弟子の使徒アダイの弟子で、伝承がある。それによれば、マリがペルシア帝国中にイエスの福音を広めたことを称賛している。彼はエデッサで教え始め、ヌサイビン(ニシビス)へ、そしてメソポタミアへ旅しながら宣教した。

シリア語の世界(38)マル・マリの働き(1)出て行って、弟子とせよ 川口一彦

さらにインドへの旅で、使徒トマスの足跡を見たと伝えている。それによれば、至る所で町が改宗し、諸教会や修道院が建ち、教師とともに学校も建てられていたと伝えている。以下はその物語の一文である。

*

神の力により、私たちは70人の弟子の1人、使徒マル・マリの物語を書いている。「私たちの主、私を助けてください。アーメン」

祝福されたアダイが亡くなる前に、神の愛の中に生き、高潔な人柄の弟子マリを選び、右手を主イエス・メシアから授けられたようにマリに置き、彼を東方の地域、バビロニアの地に派遣した。そこで主の言葉を宣教するように命じた。

マリはエデッサを離れ、ヌサイビンで宣教した。その町の人々を改宗させ、真の信仰の真理を植え付け、偶像を倒し、彫像を粉砕した後、教会や修道院を設立した。

さらに祝福されたマリはアルズン(現在のトルコ東南部)の町に行き、偉大な力で多くの人々を改宗させた。そこの王は痛風のような痛みにあり、かつてマリの手でなされた治癒について聞いたとき、王は熱心に彼を自分の前に連れてくるよう家臣に命じると、マリは王の前に行った。マリの言葉とその優しさ、謙虚さ、喜びに満ちた表情のために、王はマリを深く尊敬した。

マリは誰に対しても非常に柔和で親切、嫉妬や怒りが全くなかったからである。王は彼に尋ねた。「あなたの宗教は何ですか?」「私はあなたを神と信じています」

するとマリは答えて言った。「とんでもない。私は神ではありません。主君、王様、私は生きた神様のしもべで人間です。私は、メシアを信じる者です。メシアは世の終わりに天から下り、世界を縛っていた悪魔の欺瞞(ぎまん)から救い出しました。私はこのメシアを告白します。王様、私はメシアの名でこれらを行い、誤った道を歩む人々を神への信仰へと導いています」

王は言った。「あなたの望み通り、あなたの主は、私が長い間患っていた病を癒やすことがおできになるのでしょうか?」マリは言った。「もしあなたが彼を信じるなら、あなたの願いはかなえられるでしょう」。王はマリの前にひざまずいてひれ伏し、懇願して言った。「主よ、信じます。私をお助けください」

その時、マリは王に近づき、病のところに手を置き、「ユダヤ人がエルサレムで十字架につけた私たちの主イエス・メシアの御名によって立ち上がれ」と言った。マリの言葉とともに王は癒やされ、王家の者たちと共にバプテスマを受けた。

王が癒やされたことを知った町の人々は、マリのもとに集まり、マリは彼らの傷を癒やした。こうして、彼は町全体を改宗させ、そこに教会を建て、指導者と執事を任命した。(続く)

■ シリア語聖書による学び:マタイの福音書28章19節(右から左に読み書く)

シリア語の世界(38)マル・マリの働き(1)出て行って、弟子とせよ 川口一彦

訳:それゆえ、あなたたちは行って、全ての国の人々を弟子とせよ。そして、父と子と聖霊の名で、彼らにバプテスマを授けよ。

■ 同20節(右から左に読み書く)

シリア語の世界(38)マル・マリの働き(1)出て行って、弟子とせよ 川口一彦

訳:そして、私があなたたちに命じた全てのことを守るよう、あなたたちは彼らに教えよ。そして、見なさい。私は永遠に世界の終わりまで、全ての日々、あなたたちと共にいる。アーミン。

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※ 参考文献
『Invitation to Syriac Christianity』(University of California Press、2022年)
川口一彦著『古代シリア語の世界』(イーグレープ、2023年)

◇

川口一彦

川口一彦

(かわぐち・かずひこ)

愛知福音キリスト教会(日曜と火曜集会)ならびに名古屋北福音キリスト教会(水曜集会)の宣教牧師。フェイスブックで「景教の研究・川口」を開設。「漢字と聖書と福音」「仏教とキリスト教の違い」などを主題に出張講演も行う。書家でもあり、聖書の言葉を筆文字で書いての宣教に使命がある。大学や県立病院、各地の書道教室で書を教えている。基督教教育学博士。東海聖句書道会会員、書道団体以文会監事。古代シリア語研究者で日本景教研究会代表。特に、唐代中国に伝わった東方景教を紹介している。著書に『景教—東回りの古代キリスト教・景教とその波及—』など。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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