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花嫁

花嫁(33)愛には恐れがない 星野ひかり

2025年9月18日18時00分 コラムニスト : 星野ひかり
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花嫁(33)愛には恐れがない 星野ひかり+

信仰を持って10年と少し、私はどんなにか神様のために仕え続けたかったか分からない・・・それは痛々しいほどだったと思う。いつも「まだまだだ」「こんなものでは足りない」そう責め続ける声が聞こえている気がしていた。

「まだささげ切っていない」と自分を叱咤(しった)し、罪を犯すたびに救いから漏れるかのようにヒヤリとしていた。神様は私の罪の全てを十字架であがなってくださった、救いは行いによって獲得できるものではないと、頭では分かっていても。

事実、あなたがたは、恵みにより、信仰によって救われました。このことは、自らの力によるのではなく、神の賜物です。行いによるのではありません。それは、だれも誇ることがないためなのです。(エフェソ2:8、9)

信仰は恵みによって与えられたが、私などが受け取っていいのか悩んだ。しかしそれは、条件付きでしか私をかわいがってはくれなかった父親の存在が影響していたのかもしれない。

愛には恐れがない。完全な愛は恐れを締め出します。・・・恐れる者には愛が全うされていないからです。(1ヨハネ4:18)

この聖書箇所を開くたびに、ドキリとして、心臓に悪い気がした。私の神様への思いには、どこか恐れがあった。私の生育からの体験を通じても、条件付きではない愛を信じる基盤がなかった。「結局ダメなら嫌われるんだろ」「どうせ見捨てられるんだ」「神だって同じだろ」。そんないじけた思いが、恐れの裏側に隠れていた。

しかし、初めて無条件に私を愛してくれる人に出会い、私はその人と結婚し、ようやく愛や恵みというものを信じ切れるようになった。教会が変わったことも関係している。愛が等価交換のようなものでしかなかった私には、この恵みは驚くべきものであり、同時に、聖書の愛を信じることの難しさを実感した。たいていの人が条件付きの愛しか覚えがないことだろう。だからこそ、聖書に書かれている、神様から差し出された愛を受け取ることは難しいのだ。

ここに、キリストの愛を伝えることの難しさが潜んでいる。愛を捜して教会の門をたたいても、去ってゆく人のどれほどに多いことだろうか。過去にいじめや虐待、孤立を経験した人たちの、イエス様の愛を信じることの厳しさは、まるで厳重な二重の扉があるようなものであり、察するに余りある。

私の信仰生活、そして日常生活は変化した。「恐れから」従うのではなく、「愛によって」従いたいという信仰へと。そして、神様に愛されているという実感は、ささやかな贅沢(ぜいたく)を自分自身に許せるように変わった。

神様がどんなに私を愛されているか、それ故にどんなに長年の労苦を労わりたいと思っておられるかが分かるからだ。髪を巻いてみたり、憧れの服を買ってみたり、毎朝ゆっくり羽を伸ばすようにヨガに興じ、長年頑張ってきた体をじっくり労わる時間も持てる。

恐れに縛られていた私には大きな変化であった。しかし、だからこそ同じように窮屈で恐れのある信仰を持っている人へ思いをはせる。恐れという鎖から自由になり、存分に神様の愛を知ることができるように、心から祈る。

また、愛を求めて教会の門をたたき、また聖書を開く人たちが「やはり愛などなかった」と去ってしまわないようにと願うばかりだ。教会が、愛に乏しい人への最後のとりでとなり得ますようにと。

(絵・文 星野ひかり)

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◇

星野ひかり

星野ひかり

(ほしの・ひかり)

千葉県在住。2013年、友人の導きで信仰を持つ。18年4月1日イースターにバプテスマを受け、バプテスト教会に通っている。同年より、クリスチャントゥデイで連載を始める。これまでの掲載作品は、「のりぼと神様」(18年)、「はっつぁんとかおる姫」(同年)、「背徳の街のマリヤ」(19年)、「み使いダニエル」(20〜21年)、「さくら時計」(21〜22年)、「すみれ時計」(22年)、「小菊時計」(同年)、「夜明け前」(22〜23年)、「花嫁」(24年〜)。

■ 星野ひかりフェイスブックページ
■「花嫁(9)白百合の願い」で取り上げた星野ひかりの石鹸はこちら

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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