米国の多くの州が信仰者に対する適切な保護を欠いているとする声が上がる中、イリノイ州が全米50州の中で信教の自由を保障するための措置を最も多く取っていることが、新たな報告書で明らかになった。
米キリスト教保守派の法曹団体「第一自由協会」(FLI)が運営する「宗教文化民主主義センター」(CRCD)はこのほど、昨年に続き2回目となる年次報告書(英語)を発表した。この報告書は、信教の自由を保障するために実施されている措置の件数で、全米50州をランク付けしたもの。昨年はミシシッピ州が最高値を獲得したが、今年は4位となり、昨年2位だったイリノイ州が、2位に18ポイント差を付けてトップとなった。
信教の自由の保障度合いを示す指標は100%を最高とするパーセントで示され、イリノイ州は85%で、昨年の81%から4ポイント上げた。昨年82%を獲得したミシシッピ州は、今年は64%で、サウスカロライナ州(67%)、ニューメキシコ州(66%)に続く4位となった。昨年最下位だったカリフォルニア州は、今年は26%で下から3番目。今年の最下位は、14%にとどまったウェストバージニア州だった。
指標を決定する信教の自由を保障するための措置には、▽宗教上の理由による不在者投票または理由を問わない不在者投票が可能、▽宗教的信念に反する場合、医療従事者が中絶や避妊手術の実施、避妊薬の処方をしない選択が可能、▽「信教の自由回復法」(RFRA)が州レベルである、▽宗教的信念に基づき、宗教団体、公務員、民間企業が同性婚の実施や参加を拒否可能、▽宗教上の理由による学齢期の子どもの予防接種免除、などがある。
報告書によると、イリノイ州では、医療的緊急事態における中絶実施の拒否、公務員と民間企業による同性婚の実施や参加の拒否を除き、信教の自由を保障するためのその他の措置が全て取られているという。
これに対し、最下位となったウェストバージニア州では、今回の調査で対象項目とされた信教の自由を保障するための計35の措置のうち、7つの措置しか実施されていなかった。その一方で、7つの措置の中には、イリノイ州が認めていない医療的緊急事態における中絶実施の拒否などが含まれている。
イリノイ州の他に、信教の自由の保障度合いを示す指標が50%以上だったのは、高い方から順に、サウスカロライナ州(67%)、ニューメキシコ州(66%)、ミシシッピ州(64%)、オハイオ州(64%)、ワシントン州(62%)、アーカンソー州(61%)、フロリダ州(60%)、メリーランド州(57%)、ペンシルベニア州(55%)、ユタ州(55%)、テネシー州(51%)、デラウェア州(50%)の12州だった。