ライブチャーチ寸座(静岡県浜松市)を会場に、8月14日から16日までの3日間にわたって開催された「ワーシップ&リーダーシップ・カンファレンス」では、ヒルソング教会のアンディー・ホッパー牧師が最終プログラムである4回目のメインセッションで語った。
牧師や教会指導者を対象とした「ヒルソング・リーダーシップ・ネットワーク」でチームリーダーを務めるホッパー牧師は、神がエデンの園を造られた際に意図していた基準は、今の世の中の基準とは異なるものだと説明。世の中が暗闇だとすれば、神が意図していた世界は光だとし、暗闇の中で光として輝くための10の基準について話した。
一方、人は自分が経験してきたことを「普通」だと思ってしまう傾向があると指摘。私たちが、神の基準ではなく、世の中で経験してきたことを「普通」だと考え、それを基準にして教会を建て上げることには危険が伴うと話した。
1. Small(小さい)
ホッパー牧師が神の基準として1つ目に上げたのは、「Small(小さい)」。世の中は多くの場合、大きいことや多いことを良しとする。しかし、イエスは大きなものをいくらでもつくることができたのに、サイズは気にしなかったとホッパー牧師は言う。教会であれば、規模よりも、教会に通う人たちとの関係性の方が重要だとし、「皆さんの教会が何千人規模の教会になる必要はありません。サイズによって自分の教会を過小評価しないでください」と話した。
ホッパー牧師の義理の父は、200~300人規模の教会を30年ほど牧会していたが、ある時、同じ町に有名教会の枝教会ができた。義理の父は、その枝教会が最初の礼拝でいきなり2千人近くの出席者を集めたことを知り、大きなショックを受け、「私はこの(牧師としての)仕事をうまくできていないのだろうか」と尋ねてきたという。ホッパー牧師は、クリスチャンであっても、こうした世の中の基準に流されやすい姿があることに触れつつ、「サイズを賛美するような生き方はやめましょう」と励ました。
2. Slow(遅い)
ホッパー牧師が2つ目に挙げたのは、「Slow(遅い)」。世の中では、一般に遅いよりも速い方が評価される。また、人は多くの場合すぐに結果が出ることを求めがちだ。しかし、「霊的な変化は時間がかかるものです」とホッパー牧師。「二歩進んで一歩下がる。そのようにして安定した土台を築くのです」と話した。
3. Scheduled(予定化)
3つ目は「Scheduled(予定化)」。世の中では、自分がやりたいことを、自分がやりたいときにやれるフレキシブルさが歓迎される。自分が見たい映画を、自分が見たいときに見られるネットフリックスは、その典型的な例だ。しかし、例えば教会のスモールグループは、日時と場所を決めて定期的に行う。ホッパー牧師は、このようにあえてフレキシブルさをなくすことで、人は何を優先すべきかを考えなくてはならなくなると話した。
4. Inconvenient(不便)
4つ目は「Inconvenient(不便)」。ホッパー牧師はここで、日本のコンビニで売られていた半熟卵に衝撃を受けたことを話した。卵をパック単位ではなく、1個単位で買えることに加え、半熟にまで調理されている便利さに驚いたという。教会の礼拝に毎週参加することやスモールグループに参加することは、ある面では不便を伴うが、「どんなものでも大切なものは便利さからは生まれないと思います」と話した。
5. Dependence(依存)
5つ目は「Dependence(依存)」。世の中では、独立できる才能が歓迎され、親からの独立や会社からの独立、政府からの独立など、独立することを望む傾向がある。しかし、「私たちは他人なしではキリストのようにはなれないのです」とホッパー牧師。人は皆、他者の助けや知恵を必要としているとし、「赦(ゆる)すというのは、赦す人がいないと練習できないものです。ですから、キリストのようになるために、お互いがお互いを必要としています」と話した。
6. Community(コミュニティー)
6つ目は「Community(コミュニティー)」。世の中では、知識を得ることが重要視され、今ではさまざまなツールを使って、自宅で一人だけで学習することもできる。しかしホッパー牧師は、質問したり、質問されたりするときに最も学ぶことができると話す。そのためにはコミュニティーが必要だとし、「コミュニティーの中でしか、私たちは本来の姿になれないのです」と語った。
7. Family(家族)
7つ目は「Family(家族)」。教会は会費を払って入るクラブではなく、神の家族だとホッパー牧師。互いに、キャンセルしたり、評価したりするような場所ではなく、誰にとっても居場所があるところだと話した。
8. Vulnerability(弱さ)
8つ目は「Vulnerability(弱さ)」。世の中では、自身の弱さは隠さなければいけないが、教会では隠す必要はなく、自身の弱さをさらけ出すことができるとホッパー牧師は話す。教会は、自分らしくいられる場所であり、何かの「ふり」をする必要がない場所だと語った。
9. Diversity(多様性)
9つ目は「Diversity(多様性)」。パウロが「ユダヤ人もギリシア人もなく、奴隷も自由な身分の者もなく、男も女もありません」(ガラテヤ3:28)と話しているとおり、教会はさまざまな人が集う場所。職業や教育レベル、興味関心も違うが、そうした中でもキリストにあって一致しているのが教会だとし、「これこそが暗闇の中の光」だと話した。
10. Contributors(貢献者)
そして、最後は「Contributors(貢献者)」。多くの人は、与える者になるよりも、受ける者になろうとする。しかしホッパー牧師は、偉大な人生は、他者から仕えられることによって得られるものではなく、他者にどのように貢献できるかにかかっていると話す。最近は、うつ病の治療においても他者を助けることが取り入れられていると紹介した。
これら10の基準について話した後、ホッパー牧師は、クリスチャン一人一人、また教会が、暗闇の中で輝く光となるよう励まし、そのためには、世の中の「普通」を基準とするのではなく、神の基準に立つ必要があると強調。「私たちは、死んでいこうとしている世の中に、命を与える存在なのです。この世の中にいても、この世の者ではないのです。私たちはこの世の基準によって生きる者ではないのです」と語った。