静岡県浜松市のライブチャーチ寸座を会場に、14日から16日にかけて「ワーシップ&リーダーシップ・カンファレンス」が開催された。カンファレンスには、ヒルソング教会やインドネシアのジャカルタ・プレイズ・コミュニティー・チャーチ(JPCC)のリーダーたちがゲストとして参加。15日の「スモールグループと教会成長」をテーマにした分科会では、JPCCのゲア・デナンダ牧師とリブカ・ユスフ・ルクマン牧師が、弟子訓練やスモールグループの運営方法について語った。(前編はこちら)
弟子訓練の4つのステージと3つの要素
リブカ牧師に続いて再び話をしたゲア牧師は、イエスが行った弟子訓練には、以下の4つのステージがあると説明。徐々にイエスの働きに対する関わりが大きくなり、イエスとの距離が近づいていくことを語った。
- 「来て、見なさい」(ヨハネ1:35~46)
- 「来て、ついてきなさい」(マタイ4:19、マルコ1:16~18)
- 「来て、私と共にいなさい」(マルコ3:13~14)
- 「私のうちにとどまりなさい」(ヨハネ15:5、7)
また、変化を生み出す弟子訓練の3つの要素として、1)聖書の言葉、2)聖霊の力、3)コミュニティーを挙げた。特に3番目のコミュニティーについては、人は一人では成長することができないとして、聖書で学んだことを実践する場として、意図的にコミュニティーを築いていくことの大切さを語った。
スモールグループを成長させるための4つのポイント
弟子訓練について語った後、ゲア牧師は、スモールグループの運営方法について話した。開拓から20年で3万人の教会員を抱えるメガチャーチへと成長したJPCCには、現在2千近いスモールグループがあり、教会員の6割はいずれかのスモールグループに参加しているという。また、教会で奉仕している場合は、いずれかのスモールグループに必ず参加する必要があり、JPCCではそれだけスモールグループを重要視しているという。
一方、スモールグループの運営方法はJPCCの方法をまねる必要はなく、それぞれの教会の状況や時期に合わせた独自のものであるべきだとゲア牧師。しかし、これまでの経験から、幾つかのポイントが重なり合ったときに成長を見ることができたとし、スモールグループを成長させるための4つのポイントについて語った。
1つ目は、定期的に開催すること。ペースはそれぞれの都合に合わせて、毎週でも、隔週でもいいが、定期的に会うことが重要だという。これは、参加者との関係を築くために時間が必要だからだ。
2つ目は、教会が提示するガイドやプランに従って進めること。話すトピックが何も決まっていなければ、毎回のスモールグループを導くのはなかなか難しい。ガイドやプランがあり、何を話すかが決まっていれば、リーダーの重荷も軽くなる。JPCCでは、各スモールグループのリーダーに毎週資料が配られるようになっているという。
また、スモールグループは日曜日の礼拝のミニチュア版ではないとし、証しをし、質問をし、御言葉について分かち合う場だと説明。JPCCのスモールグループで用いているガイドライン「5つのC」を紹介した。5つのCとは、Connect(互いにつながる)、Celebrate(良いことがあれば祝い、神に感謝する)、Coach(日曜日のメッセージを基に話し合う)、Communicate(教会のイベントや奉仕の必要などを案内する)、Care(共に祈る)で、リーダーはこのガイドラインに沿ってスモールグループを導いているという。
3つ目は、リーダーが事前に準備をすること。そして4つ目は、スモールグループのため、また自分のために祈ることだ。ゲア牧師は、この4つのポイントを押さえれば、どのスモールグループも良いものになっていくと語った。
スモールグループを始めて1年、なかなかうまくいかない・・・
質疑応答では、スモールグループを始めて1年になるが、困難を覚えているという男性がアドバイスを求めた。男性は、100人ほどの教会で、中学生から大学生までの若者が集うスモールグループを導いている。しかし、聖書もあまり読まず、親が行くから教会に来ているという若者が多く、なかなかリーダーになるような人がいない状況だという。
10年ほどユースを担当してきた経験があるゲア牧師は、「全く同じものを見てきました」と共感。若者を導くことは、大人に比べエネルギーも時間も必要で大変であることを語った。その上で、若者に必要なのは、手本と関係だとアドバイスした。
若者にとっての手本とは、憧れの人のこと。ゲア牧師は、友人が書いた修士論文を紹介しつつ、若者は時代が変わっても手本を求めていると話した。また、JPCCもユースの働きは全くのゼロからのスタートだったが、積極的に若者たちと関係を築いていったことを語った。
JPCCで行った具体的な工夫としては、ユース向けのスモールグループを行う曜日を変更したことを紹介した。ジャカルタの子どもたちは、平日は学校や塾で忙しく、土曜日は自由にできる唯一の曜日。友達と遊びに行ったり、ショッピングに行ったりと、スモールグループにとっては「競争相手」が多い曜日だった。
そこで、もともとは土曜日に行っていたユース向けのスモールグループを、日曜日の礼拝の一部に組み込んだという。全部で90分ある時間のうち、45分を礼拝に、45分をスモールグループに割り振ることで、子どもたちが参加しやすいようにしたのだ。また、教会ではそれぞれの若者をメンターと組み合わせたり、友達を作りやすいようにしたりする工夫もした。
さらに、親との連携を強化したことも有効だったという。教会で子どもたちと触れられる時間は限られている。それに比べ、親が子どもに接する時間は非常に長く、影響力も大きい。かつては、教会が話していることと、親が話していることが違うということもあったが、親との連携を強化したことで、そうしたことも解消されたという。
最後には、「子どもは関係をつくるのに時間がかかります。本当に自分のことを思っているのか、試したい世代です」と言い、「だから頑張って」と男性を励ました。