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世界宣教祈祷課題

世界宣教祈祷課題(7月16日):米国

2022年7月16日16時39分 執筆者 : 奥山実
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米国福音同盟、「ロー対ウェイド」判決覆した米連邦最高裁の判決を歓迎+
米連邦最高裁前に集まった「私はプロライフ世代」などと書かれたプラカードを持つプロライフ(中絶反対派)の人々と、「(中絶を行う)診療所を開けたままに」などと書かれたプラカードを持つプロチョイス(中絶擁護派)の人々=6月27日、米首都ワシントンで(写真:Jordan Uhl)

5月30日の当課題で取り上げた米国の「人工妊娠中絶に関する女性の権利」(ロー対ウェイド判決)だが、事前にリークされた草稿通り6月24日、およそ半世紀ぶりに辛くも5対4と最高裁判事を二分する判断によって覆された。

その結果、合衆国憲法による中絶権利の保護が終了し、これの是非は民意を裏付けとする各州の州議会決定に委ねられることとなった。これにより、米国50州のうち26州で中絶が禁止もしくは規制強化されることとなる。

今回の判決の大きな要因は、トランプ大統領が現職時代に任命した3人の保守派判事が功を奏したといえよう。ヒラリー民主党候補と激しい舌戦を繰り広げた2016年の大統領選のテレビ討論で彼は、「自分はプロライフ(胎児の命尊重)だ」と明言し、「私が大統領になって最高裁判事を任命できるようになれば、中絶を女性の権利として認める進歩的な最高裁判決は自動的に覆るだろう」と述べていた。

当初人格や品位が福音派間でも問題視されていたトランプ氏だが、彼のこの約束に後押しされた形で、結果的にはキャスティングボートを握る福音派の8割が彼に票を投じ、見事第45代合衆国大統領に選出されたのだ。トランプ大統領は公約を守り、3人の保守派判事を最高裁に送った。今回「ロー対ウェイド」が覆されたのは、言うまでもなくこの3人がいなければなし得なかっただろう。本人が望むなら終身までも就任し、司法を通じて長く米国社会に影響を及ぼすこれらの保守派判事たちは、トランプ大統領が遺した大きな遺産といえよう。

毎年ワシントンDCで開催されているプロライフ集会の「マーチ・フォー・ライフ」にトランプ氏は2020年1月24日、歴代の米大統領としては初めて参加し、およそ14分間のスピーチをした。その中の印象的な言葉で、彼は「神が、生まれ出た子どもと、まだ生まれぬ子どもに潜在的に与えられた権利を擁護するため、われわれは集まった」「若い世代の人々よ。プロライフ、そしてプロファミリーの米国を作るのはあなた方だ」「全ての子どもは尊く、神聖な神からの贈り物だ」「聖書が言うように、すべての人間は素晴らしく創られている」「すべての胎児は、かつてなく強力な擁護者をホワイトハウスに得た」と力強く語った。

当選を果たすと態度が豹変(ひょうへん)する政治家は多くいる。しかし、トランプ大統領はどっちつかずの安全地帯に留まることをやめ、明確な態度を示して約束を果たしたのだ。

そもそもプロチョイス(中絶権推進)運動が勃興した背景にあるのは、60年代から隆盛してきた第2波フェミニズム運動(女性解放運動)の高まりだ。神は子どもを出産し授乳する賜物を、男性には与えず、 女性にお与えになった。ところがフェミニストたちはこの尊い特権を卑下して、出産や育児は女性が男性と同等にキャリアを追求するのを妨げる弊害なのだと偽り、創造の摂理を無視する「いびつな平等」を主張し始めたのだ。ここに悲劇の始まりがある。

73年のロー対ウェイド以降、米国では6300万人の胎児が堕胎された。ホロコーストで虐殺されたユダヤ人600万人の実に10倍以上だ。世界全体では、毎年4千万人以上の人命が人工妊娠中絶によって奪われている。これは現在進行形の人類最大の虐殺劇だと断じざるを得ない。

ところが、この異常事態が制度として確立して久しいため、私たちの良心は完全に麻痺してしまっている。もちろん、若気の至りで知らずに堕胎をしてしまった者があるなら、堕胎であれ何であれ、どのような罪もキリストの血潮によって洗えない罪などない。しかし信者であろうとなかろうと、不当に人を殺すことを認める法など、決して容認できるはずがない。それは、全ての人間が有する「良心の律法」(ロマ2:15)に照らしてもそうだ。まして、将来の可能性と希望の原石そのものである胎児らは、自分の生きる権利を主張も弁護もできない最弱者なのだ。これら弱き者らを、神の御前に完全な一人の人間として認めるわれわれキリスト者こそが、彼らの権利を擁護し、声なき彼らの声を代弁するべきではないか。

これを実際の行政の場で形にする大統領にキリスト者らが一票を投じた結果、50年続いた憲法上の中絶保護という社会悪は終了したのだ。堕胎される胎児のために日々涙を流して祈るキリスト者は決して少なくない。このような長年のキリスト者らの涙の祈り、啓発、運動、投票行動が結実し、今回の判決のように、実際の政治が動いたのだ。

現在「ロー対ウェイド」の終焉を見たプロライフ派の次の目標は、全米50州で胎児の生きる権利が完全に保障されることだ。そのために彼らは「中絶は当然の権利だ」とする誤った常識、誤った文化を変えるために活動している。ちょうどそれはLGBT運動家らが30年かけてわれわれの文化や常識を覆したように、その手法を逆手に取り「命を尊重する文化」を構築、浸透させようとする試みだ。

神は、やもめや孤児、幼子ら小さき者を特に目に留め、愛してくださる。彼らプロライフキリスト者の活動に神の祝福があるように祈ろう。小さき命が守られ、米国が再び美徳や善意の世界的模範となり、世界宣教が拡大するように祈っていただきたい。

■ 米国の宗教人口
プロテスタント 35・3%
カトリック 21・2%
正教 1・7%
ユダヤ教 1・7%
イスラム 1・6%
無神論 16・5%

※ この記事は、世界宣教センター所長の奥山実牧師のフェイスブックに掲載された「世界宣教祈祷課題」を、若干の編集を加えた上で転載したものです。
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