異端カルト110番編集長の中橋祐貴氏が昨年11月、同賛同人の根田祥一氏同席のもと、「反キリスト教メディア」として韓国の主要教団から調査されている「ニュースNジョイ」の取材を日本で受けた際、現在、信徒暴行問題の渦中にある同代表の張清益(チャン・チョンイク)牧師も通訳者として協力していたのではないかと疑う声が上がっている。張牧師は昨年10月、中橋氏が韓国に渡り、本紙元スタッフの「ホンダ」と「脱退者」の一人二役を演じてメディア取材に応じた際も、通訳者として同行していた。中橋氏はニュースNジョイからの取材時に、自身で手を加えた事実上の「捏造ノート」を提示していたことを認めている。さらに、複数の信徒に対する暴行が指摘されている張牧師も同席していたことになれば、事態はより深刻だ。
張牧師の問題をめぐっては、すでに今年の春ごろには、韓国の派遣教会の宣教師リストから張牧師の名前が消えており、所属する大韓イエス教長老会(合同)の世界宣教会(GMS)では、倫理委員会が調査団の日本派遣も視野に調査を進めている。しかし根田氏は、その張牧師を「異端カルト問題のエキスパート」などと評価し、信徒暴行の報道後も「たいへん立派な牧師」「優しい先生だ、面倒見の良い先生だと慕われています」と述べるなど、全面的に擁護している。なぜ「ジャーナリスト歴40年」を自負する根田氏が、信徒への暴行という重大な問題において、被害者の声に耳を傾けず、張牧師擁護一辺倒な姿勢を貫くのか。大きな疑問符が付く。
韓国クリスチャントゥデイは昨年12月以降、ニュースNジョイが、朝鮮労働党の指導理念である「主体思想」を支持する韓国の政治運動「主体思想派」の「細胞組織」だったことを集中報道した。それに応じてニュースNジョイは中橋氏の「捏造ノート」を利用して、韓国クリスチャントゥデイを批判する報道を行った。また、韓国クリスチャントゥデイを名誉毀損など複数の名目で刑事告訴したが、韓国検察は今年11月、一連の報道は「具体的な状況提示がある」と判断。無嫌疑としてニュースNジョイの訴えを退け、かえって報道の確かさが認められる結果となった。
ニュースNジョイがキリスト教の破壊を目的とした主体思想派の細胞組織であるという可能性に危機感を覚えた大韓イエス教長老会(高神)、大韓イエス教長老会(合同)、大韓イエス教長老会(合神)の韓国の主要3教団は今年9月、各教団の総会で「反キリスト教メディア」や「異端」の疑いがあるとして、ニュースNジョイに対する調査を決議。教団によっては、調査期間中の後援中止も決める事態になっている。
しかし、異端カルト110番はニュースNジョイと業務提携まで結び、これらの動きを一切伝えていない。さらに根田氏は、ニュースNジョイについても「韓国のキリスト教界で信頼を得ています」と全面擁護の姿勢を示している。
ニュースNジョイの取材に、中橋、根田の両氏だけでなく、張牧師までも協力していたとすれば、事態はより深刻だ。日本福音同盟(JEA)なども賛同する異端カルト110番の中心人物3人が、主体思想派の細胞組織である「反キリスト教メディア」の取材に協力し、さらにその中で「捏造ノート」も提示していたという構図が浮かんでくるからだ。
張牧師の問題をめぐっては、教会内で女性信徒の手を無理やり引っ張り、女性が悲鳴を上げる場面を捉えた動画も存在する。張牧師は後日、この女性の携帯電話を壊した上で、暴行を加えたとされている。一体、張牧師もニュースNジョイの取材現場に同席していたのか。ノートについて「(脱退者)本人のものに加筆したもの」「説明のために筆写した」と言い訳する中橋、根田の両氏は、これについてもまた言い逃れをしようとするのだろうか。
本紙が統一協会と関係しているなどという荒唐無稽な話から始まった一連の「異端疑惑」も、その発端は、当時クリスチャン新聞編集長だった根田氏が、ニュースNジョイの報道を基にした虚偽情報をJEAに提供したことだった。それから実に15年、根田氏は本紙に対するネガティブキャンペーンを張り続けている。信徒への暴行問題のある牧師や、北朝鮮思想の色濃いメディアを無批判に擁護し続ける根田氏の姿勢は、真実を追究するジャーナリストの姿からはほど遠い。そこに見えるのは、何が何でも本紙を貶(おとし)めたいという歪(ゆが)んだ姿勢だけだ。