第43回日本カトリック映画賞の受賞者が、「ぼけますから、よろしくお願いします。」の信友直子監督に決まった。本作は、信友氏が認知症となった母親とそれを支える父親の姿を、娘の視点で描いたドキュメンタリー。6月には授賞式と上映会が行われ、同賞を主催するSIGNIS JAPAN(カトリックメディア協議会)の顧問司祭である晴佐久昌英神父と信友氏の対談も予定されている。SIGNIS JAPANが公式サイトで発表した。
舞台は広島県呉市。この街で生まれ育った「私」(信友氏)は18歳で大学進学のために上京し、以来40年近く東京暮らしを続けている。結婚もせず、ドキュメンタリー制作に携わるテレビディレクターとして仕事に没頭する中、45歳の時に乳がんが見つかる。そんな「私」をユーモアたっぷりの愛情で支える母。母の助けで人生最大の危機を乗り越えた「私」は、父と母の記録を撮り始めるが、少しずつ母の変化に気付き始める。
87歳になる母に、認知症の症状が出始めていたのだった。母のために、95歳で初めてリンゴの皮をむく父。「私」は仕事か介護かで迷うが、自分が介護をするという父の言葉に背中を押され、両親の記録を撮ることが自分の使命だと思い始める――。
2016年9月にテレビの情報番組で2週にわたって特集され、大反響を呼ぶ。さらに継続取材を行い、17年10月に別の番組で放送されると再放送を求める声が殺到した。本作は、さらなる追加取材と再編集を経た「完全版」。
授賞式・上映会は6月22日(土)午後1時〜4時半(同12時15分開場)に、なかのZERO大ホール(東京都中野区中野2ー9ー7)で。詳細は後日発表される。
日本カトリック映画賞は、前々年の12月から前年の11月までに公開された日本映画の中で、カトリックの精神に合致する普遍的なテーマを描いた優秀な映画作品の監督に贈られる。1976年に創設され、これまでに「火垂(ほた)るの墓」(88年)の高畑勲、「博士の愛した数式」(2005年)の小泉尭史(たかし)、「おくりびと」(08年)の滝田洋二郎各監督などが受賞している。