東日本大震災が発生した4日後、シリアでは内戦が勃発した。米国、ロシアなどの大国を巻き込み、さらにはイスラム過激派などの台頭により現在も悪化の一途を辿っている。故郷を追われた人々は難民となり、6年たった今も不自由な暮らしを強いられている。
東日本大震災後、水の支援を中心に活動を行ってきたNPO法人「FUKUSHIMAいのちの水」では、2015年秋、同法人代表の坪井永人牧師が渡航先の米国でシリア人と出会ったのをきっかけに、シリア難民の支援を開始。11月にSNSなどを通して情報を拡散すると、一気に物資が集まり始め、毎日100箱近くの荷物が福島県郡山市にある同法人のセンターに届くようになった。
翌年3月には第1便となるコンテナを発送。シリア隣国に船便で送り、港からは陸路でシリアに運んだ。全国から届いた善意の物資は1度で送ることができず、残りは現在、同法人のセンターに保管してある。再び日本からコンテナを送るために、チャリティーバザーなどを毎週行い、資金を募ってきたが、まだ送料を全額負担するまでには至っていない。
同団体では、24日からクラウドファウンディングサービス「Ready for」で募金の受付を開始した。目標金額は、送料、手数料などに必要な144万円。
資金が集まり次第、前回同様、40フィートのコンテナに支援物資を詰め、目標金額を上回る資金が集まれば、さらに20フィートのコンテナに食糧を積んで送る予定だ。前回のルートには多くの困難があったため、現在予定しているのは、前回と違う隣国へ運ぶ別ルート。「食糧は、迫害を受けているキリスト教の難民に送りたいと思っている。彼らはハラル食品以外も食べるので、日本から物資が送りやすい」と坪井氏。
現地シリアでは、物資はもちろんだが、前回、荷物の中に入っていた日本からの心のこもった手紙やメッセージが非常に好評だったという。今回は同団体でも、子どもたちから絵や手紙を募り、一つ一つの荷物に添える予定だ。
坪井氏は言う。
「誰もが故郷で生きる権利がある。原発事故によって故郷を追われてしまった福島の人々も、内戦によって家を追われたシリアの人々も一緒なのだと思う。同情ではなく、連帯の思いをこめてこの活動を行い、隣人として当たり前のことをしていきたい」
福島から世界へ。今後もシリアに限らず、困難な状況にある国の子どもたちの支援をしていく予定だ。なお、現在、物資や手紙の受付は行っていない。
詳しくは「Ready for」で。期間は3月24日から5月31日まで。