(ハ)試練・苦難の目的を明確に認識する〔34〕
試練・苦難の目的は、ヤコブ1:4に「その忍耐を完全に働かせなさい。そうすれば、あなたがたは、何一つ欠けたところのない、成長を遂げた、完全な者となります」とあるように、信仰が試されることによって生じた忍耐を完全に働かせることによって、成長を遂げることができるということである。神は愛する者を、試練・苦難を通して成熟した完全なキリスト者にしようとして、いろいろな試練・苦難に遭わせられる。
しかし神は、Ⅰコリント10:13に「耐えられないほどの試練に会わせることはなさいません。むしろ、耐えるられるように、試練とともに脱出の道も備えてくださいます」とあるように、私たちを試練・苦難の中でつぶしてしまうことはなさらない。私たちに忍耐を働かせる気持ちがなければ駄目かもしれないが、試練・苦難の中で忍耐を働かせていくときに、私たちはつぶれることなく、かえって成長を遂げた者となることができるのである〔34〕。
私たちは人を見るとき、その人の過去のデータで見てしまいやすい。しかしキリストは、過去のデータではなく、成長する可能性、将来を見ながら、現在の私たちを見てくださっている。キリストはペテロが3度もキリストを知らないと否定した時にさえ、その後に造り変えられ、雄々しく殉教していくまでになるペテロを見ておられた。
私たちがキリストを愛し従っていこうとするとき、キリストは成長を遂げた将来の私たちを見てくださっている。それ故、成長するために、私たちは試練・苦難を嫌がって投げ出すようなことはしないようにしたいと思う〔34〕。
神が与えられる試練・苦難を負い、むしろそれを喜びとするとき、忍耐は完全にその働きを発揮するのである。その時、キリスト者は何1つ欠けたところのない成長を遂げた完全な者となるのである。それは霊的な大人を意味し、全体として、充実し、成熟し、バランスのとれた人という意味である。このように成熟度においても均衡度においても、十分に成長を遂げた、完全な者となることが、試練・苦難の最終目的である。
パウロがローマ5:3、4で、「患難さえも喜んでいます。それは、患難が忍耐を生み出し、忍耐が練られた品性を生み出し、練られた品性が希望を生み出すと知っている」と言っている通りである。この練られた品性とは、刀のように不純なあらゆる混じり物が除去された、鋭く、折れない、粘りのある、強く、美しい、そして本物のキリスト者であることを顕(あらわ)す、人格といえる。
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(参考並びに引用資料)
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