ビジネスマン生活への提言
ここでは、ビジネスマンの仕事の面ばかりではなく、家庭生活や第2の人生への準備などに対しても、幾つかの提言をしたい。この節でも、幾つかの本を参考ならびに引用させていただいた。それらの本については〔 〕内に番号をつけ、巻末に参考文献として記した。より詳しい内容を知りたい方は、そちらの方を参照していただきたい。
仕事における試練・苦難をどう乗り切れば良いか
仕事において出会った試練・苦難の一つ一つについて、聖霊の働きによってそれらをどう乗り越えることができたかを、体験的に紹介した。ここでは、仕事で出会う試練・苦難をどう乗り越えればよいかに関し、全般的なこととして、2つのことを勧めたい。1つは試練・苦難に対して積極的な見方をするということ、もう1つは試練・苦難に対する実際的な対応方法である。これらが試練・苦難を乗り越える上での参考になれば幸いである。
試練・苦難に対する積極的な見方を持つことはとても有意義である。そのために、以下のことを行うよう勧めたい。
(イ) 試練・苦難には2通りの出所があることを覚える〔33〕
試練・苦難を乗り越えるために、私たちは試練・苦難には2通りの出所があることを覚えることが大切である。その1つは、サタンが悪意をもって私たちに与える試練・苦難、すなわち人を最悪に落とすためのものであり、もう1つは、神が善意をもって私たちに与えられる試練・苦難、すなわち人から最善を引き出すためのものである。
サタンからの試練・苦難は、私たちの信仰が果たして本当であるかどうかを試すためのものであり、また神からの試練・苦難は、私たちの信仰が本当であることを証明するためのものである〔33〕。
サタンはキリスト者を倒すために試練・苦難に遭わせ、そして彼らを倒すための巧妙な策略を用いる。例えば、サタンは弱いキリスト者たちに、神は愛でありご自分の子どもを守っておられるので、キリスト者が試練・苦難に遭うはずがないと思い込ませる。弱いキリスト者たちがそう思い込まされたとき、サタンはそのキリスト者に試練・苦難を与える。
試練・苦難に遭うはずがないと思っていたそのキリスト者は、途端に疑いの渦に巻き込まれてしまう。「神は私を見捨てたのか。それとも神には力がないのか。神が守ってくれるということは偽りだったのか」と神を疑い始め、サタンの思うつぼにはめられてしまう。このようにサタンは、試練・苦難が私たちのつまずきとなるように仕向ける。これがサタンの手口である。
しかし、私たちはその試練・苦難を、むしろ自分の信仰の純正を証明する最良の機会としてしっかりと捉え、対処することが重要である。私たちがサタンからの試練・苦難を、信仰を持って受け止めるとき、それは信仰を強めるための神の恵みとなるが、自己の欲望をもって当たるとき、それは私たちを滅ぼす誘惑となることを覚えたい〔33〕。
神は、健康や金銭的な豊かさや社会的な成功よりも、もっと大きく重要な祝福を与えようとしておられる。地上の一時的なものではなく、天にある永遠の霊的富をもって私たちを豊かにしようと、神は私たちを訓練しておられるのである。そのために、神は私たちから健康やこの世の富を取り去られる場合がある。それは、私たちに天にある永遠のものを、一層熱心に求めさせるためである。
それ故、試練・苦難は私たちに天的な品性を与え、神を信頼することの価値を教え、忍耐することを学ばせ、私たちを霊的大人にならせる。このように神が与える試練・苦難は、私たちに益を与えるものである。神がサタンに、私たちを試みることをお許しになるのはこのためである。
しかし、サタンの悪巧みも、私たちがしっかりとそれに対処するなら、それは結局のところ私たちには、信仰の純正を証明するための試験となるのである〔33〕。
《 参考文献を表示 》 / 《 非表示 》
(参考並びに引用資料)
[1]門谷晥一(2006年)『働くことに喜びがありますか?』NOA企画出版
[2]ジョン・A・バーンバウム、サイモン・M・スティアー(1988年)『キリスト者と職業』村瀬俊夫訳、いのちのことば社
[3]山中良知(1969年)『聖書における労働の意義』日本基督改革派教会西部中会文書委員会刊
[4]カール・F・ヴィスロフ(1980年)『キリスト教倫理』鍋谷堯爾訳、いのちのことば社
[5]唄野隆(1995年)『主にあって働くということ』いのちのことば社
[6]宇田進他編(1991年)『新キリスト教辞典』いのちのことば社
[7]山崎龍一(2004年)『クリスチャンの職業選択』いのちのことば社
[8]ケネ・E・ヘーゲン『クリスチャンの繁栄』エターナル・ライフ・ミニストリーズ
[9]D・M・ロイドジョンズ(1985年)『働くことの意味』鈴木英昭訳、いのちのことば社
[10]唄野隆(1979年)『現代に生きる信仰』すぐ書房
[11]ルーク・カラサワ(2001年)『真理はあなたを自由にする』リバイバル新聞社
[12]ヘンドリクス・ベルコフ(1967年)『聖霊の教理』松村克己&藤本冶祥訳、日本基督教団出版局
[13]ピーター・ワグナー(1985年)『あなたの賜物が教会成長を助ける』増田誉雄編訳、いのちのことば社
[14]ケネス・C・キングホーン(1996年)『御霊の賜物』飯塚俊雄訳、福音文書刊行会
[15]エドウィン・H・パーマー(1986年)『聖霊とその働き』鈴木英昭訳、つのぶえ社
[16]遠藤嘉信(2003年)『ヨセフの見た夢』いのちのことば社
[17]唄野隆(1986年)『主に仕える経済ライフ』いのちのことば社
[18]東方敬信(2001年)『神の国と経済倫理』教文館
[19]E・P・サンダース(2002年)『パウロ』土岐健治&太田修司訳、教文館
[20]松永真里(2001年)『なぜ仕事するの?』講談社
[21]厚生労働省編(2005年)『労働経済白書(平成一七年版)』国立印刷局発行
[22]ダニエル・フー「Goal-Setting」、国際ハガイセミナー資料(2005年、シンガポール)
[23]ジョン・ビョンウク(2005年)『パワーローマ書』小牧者出版
[24]ジョン・エドムンド・ハガイ(2004年)『聖書に学ぶリーダーシップ』小山大三訳、ハガイ・インスティテュート・ジャパン
[25]国際ハガイセミナー資料(シンガポール、2005年7月)
[26]ポール・J・マイヤー(2003年)『成功への25の鍵』小山大三訳、日本地域社会研究所
[27]国内ハガイセミナー資料(名古屋、2004年11月)
[28]三谷康人(2002年)『ビジネスと人生と聖書』いのちのことば社
[29]安黒務(2005年)「組織神学講義録、人間論及び聖霊論」関西聖書学院
[30]平野誠(2003年)『信念を貫いたこの7人のビジネス戦略』アイシーメディックス
[31]マナブックス編(2004年)『バイブルに見るビジネスの黄金律』いのちのことば社
[32]マナブックス編(2006年)『バイブルに見るビジネスの黄金律2』いのちのことば社
[33]山岸登(2005年)『ヤコブの手紙 各節注解』エマオ出版
[34]野田秀(1993年)『ヤコブの手紙』いのちのことば社
[35]デイビッド・W・F・ワング(2008年)『最後まで走り抜け』小山大三訳、岐阜純福音出版会
(その他の参考資料)
・林晏久編(2004年)『刈り入れの時は来た—ビジネスマン・壮年者伝道ハンドブック』いのちのことば社
・大谷順彦(1993年)『この世の富に忠実に』すぐ書房
・H・F・R・キャサーウッド(1996年)『産業化社会とキリスト教徒』宮平光庸訳、すぐ書房
・鍋谷憲一(2005年)『もしキリストがサラリーマンだったら』阪急コミュニケーションズ
・マックス・ヴェーバー(1989年)『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』大塚久雄訳、岩波書店
・小形真訓(2005年)『迷ったときの聖書活用術』文春新書
・ウォッチマン・ニー(1960年)『キリスト者の標準』斉藤一訳、いのちのことば社
・ロナルド・ドーア(2005年)『働くということ』石塚雅彦訳、中公新書
・共立基督教研究所編(1993年)『聖書と精神医学』共立基督教研究所発行
・生松敬三(1990年)『世界の古典名著・総解説』自由国民社
・バンソンギ「キリスト教世界観」石塚雅彦訳、CBMC講演会資料(2005年)
・William Nix, 『Transforming Your Workplace For Christ』, Broadman & Holman Publishers, 1997
・ミラード・J・エリクソン(2005年)『キリスト教神学』第三巻、伊藤淑美訳
・ヘンリー・シーセン(1961年)『組織神学』島田福安訳、聖書図書刊行会
・ジョージ・S・ヘンドリー(1996年)『聖霊論』一麦出版社
・ウィリアム・ポラード(2003年)『企業の全ては人に始まる』大西央士訳、ダイヤモンド社
◇