レバノン系米国人でキリスト教徒のハーリド・ジャバラさん(37)が8月初め、米オクラホマ州タルサで殺害された。容疑者は、ジャバラさんをイスラム教徒と思い込んでいた疑いがある。ジャバラさんの教会の信徒らは、神の教えに忠実だったジャバラさんを偲び、最期の別れを告げた。
米ニュースメディア「ハフィントンポスト」によると、ジャバラさんの葬儀は数百人が集う中で行われ、「何があっても決して神を忘れてはならない」というメッセージが取り次がれた。
別の米ニュースメディア「宗教ニュースサービス」は、ジャバラさんがキリスト教の伝統的な葬儀によって見送られたとする、ジャバラさんの所属教会、聖アントニオ正教会のジョージ・エバー司祭の言葉を伝えている。
葬儀では、祈祷と聖書朗読によって生前のジャバラさんが祝福されるとともに、教会に集った信徒らが抱いていたであろう疑問に対する応答も述べられた。
「葬儀には大きな意義があります」「『神はなぜジャバラさんを助けてくださらなかったのか』また『このような悪がどこからやって来るのか』という疑問に答えることになるからです」と、エバー氏は語った。
ジャバラさんの死は、ヘイトクライム(憎悪犯罪)の疑いがあることから政治的注目を集めるかもしれないが、キリスト教の葬儀は非政治的なものだとエバー氏は語った。
「私たちはあらゆる政治性を避けるつもりです」「教会の敷地内ではデモをさせません」
教会は非番の警察官らに依頼して、抗議に来る人たちを敷地内に入れないようにし、ジャバラさんのキリスト教式葬儀が厳かに営まれるよう尽力したと、エバー氏は語った。
またエバー氏は、ジャバラさんの死によって、中東や米国、その他の地域にいる少数派のアラブ人正教徒らが覚醒することを願っていると述べた。
検察は、ジャバラさん殺害の主犯をスタンレー・バーノン・メジャース容疑者(61)と断定。メジャース容疑者は、ジャバラさんの母親(65)を車でひこうとした罪で昨年既に起訴されている。
報道によると、この嫌がらせは、メジャース容疑者がジャバラさんと家族に対して行った嫌がらせのほんの一部に過ぎない。メジャース容疑者は、「アイラブ人」「ムースレム教徒」などの人種差別的、宗教差別的用語を使い、ジャバラさんの家族らを侮辱していたという。