今年で46回目を迎える「千葉県教会音楽祭」(南ブロック)が15日、千葉県四街道市にある四街道文化ホールで開催された。日本基督教団、カトリック教会、セブンスデー・アドベンチスト教会(SDA)、聖公会、日本ナザレン教団などの教派を超えた各教会の聖歌隊やミッションスクールの合唱部、児童養護施設など13団体が参加。個性豊かな賛美をステージで披露した。
同音楽祭は、「お互いの教会を訪問し合うこと」を目的の一つとして、当初は各教会の会堂を会場に音楽祭を行っていた。しかし、年々、参加する教会が増え、収容人数などの関係から、公共のホールを使用するスタイルに変更した。また、以前は県内の参加教会を一カ所に集めて行っていたが、南北2つのブロックに分けて開催し、4年に一度、合同で行なっている。参加教会の聖歌隊は、礼拝などの音楽奉仕を行いながら、この音楽祭に向けて練習を重ねてきている。
第一部では、参加者全員による礼拝がささげられた。メッセージを取り次いだ日本基督教団佐倉教会の黒田直人牧師は、「約半世紀もの間、このように教派を超えて一所に集まり、神様を賛美する会というのは、全国的に見ても非常にまれな例なのではないか。その間、多くの方々の祈りと奉仕に支えられてきた。感謝したい」と話した。
また、「『川の向こう(東京)と比べると、千葉県はやっぱり色々な面で遅れてる』と言われることがある。しかし、『比べること』は信仰なのでしょうか?人間の物差しは正しいのでしょうか?そうではありません。われわれには、このように半世紀も続いた『音楽祭』がある。これは、非常に誇らしいことです。さらに、この会は競うのではなく、共に集い、賛美することが目的。素晴らしいことではありませんか。われわれはまさに『祝福された地』に生きている」と話した。その後、讃美歌「主は教会の基となり」「聖なるかな」を全員で賛美。一人ひとりの口が賛美する歌声が、会場いっぱいに響いた。
毎年、実行委員を務める教会が変わるのも、この音楽祭の特徴の一つ。今年は、46年の歴史の中で初めて、日本基督教団四の街道教会と佐倉教会が協力して実行委員会を務め、準備と当日の奉仕をした。実行委員会の一人である四街道教会の望月麻生牧師は、「この音楽祭を続けていくことは皆の願い。今までは、主に規模の大きな教会が実行委員会を担ってきたが、皆で力を合わせ、今後は無理のない形で企画、運営することができよう、探る必要がある。今回がその一歩になるのでは」と話した。
参加した13団体は、聖歌隊の規模も男女の比率もさまざま。ピアノの演奏とともに合唱する形態もあれば、アカペラで歌う団体も。三声合唱もあれば、四声合唱も。女性だけの二部合唱、全員が同じ旋律を歌う合唱など、各々の人数や構成により工夫されている。
競い合うのではなく、あくまで共に集い、賛美する喜びを感じることが同会の目的。そこに優劣はない。心からの賛美はどんな音色も心地よい。日本語もあれば、外国語の曲に挑戦する団体も。プログラムに添えられた「教会紹介」には、各教会の歴史や聖歌隊の活動の様子が記され、それぞれがそれぞれの持ち場で主を賛美し、福音を広めている様子がうかがえる。創立100年を超える歴史ある教会もあれば、歴史の浅い教会も。賛美の力にその差は関係ない。
各団体の合唱が終わると、全員で「ハレルヤコーラス」を賛美。「ハレルヤ!ハレルヤ!」と何度も繰り返されるこの歌は、「ハレルヤ」と発する度に喜びが増す。入場するときには、少々緊張気味だった参加者の顔も、終わった後には皆が笑顔に。感謝の祈りをささげ、音楽祭は幕を閉じた。
「本番が始まる前、会場の外で練習している声があちらこちらから聞こえてきました。四街道の中心地であるこの場で、こんなに多くの賛美が溢れ、通りすがる人々の耳に届いたのは、恐らく初めて。感謝ですね」と閉会のあいさつを述べた望月牧師。「祝福の地」に響いた歌声に酔いしれながら、参加者は笑顔で会場を後にした。