シリアで長く宣教してきたイエズス会のフランス・ファン・デル・ルフト神父(75)が7日、シリア西部の都市ホムスで殺害された。バチカン放送局やカトリック・ニュース・サービスなどが報じた。
イエズス会近東・マグレブ管区が、事件現場にいた同伴者たちからの情報としてカトリックのニュースメディア「アジア・ニュース」などに伝えたところによると、現地時間で今週月曜日の午後8時、フランス神父は「ホムスにある私たちの住居の前で武装した男たちに拉致され、その男たちは彼を殴り、それから銃弾2発で頭を撃って彼を処刑した」という。
バチカン放送局によると、フランス神父は他のキリスト教徒と共にいたブスタン・アル・デイワンの修道院から連れ出され、こめかみをピストルで撃たれたという。
フランス神父は今年の1月27日、「目覚ましコール SOS」と題するユーチューブの動画で世界に対し、シリアの人たちが苦しんでいること、そしてその一部が「飢えで気が狂いつつある」ことを憶えてほしいと訴えていた。
国連の潘基文事務総長は、ニューヨーク時間の4月7日夜にスポークスマンを通じて発表した声明文の中で、「フランス・ファン・デル・ルフト神父という年配の司祭がきょう殺されたことは、文民を保護する緊急の必要性を浮き彫りにしている、実に最近の悲劇である。事務総長は、包囲や増大する困難のただ中でシリアの国民の傍に英雄的に立っていた人に対する、この非人間的な暴力行為を非難する」と述べた。
イエズス会は公式ウェブページに、「シリアで50年間奉仕したオランダ人のイエズス会士、ホムスで殺される」という見出しの記事を7日付のトップニュースとして、フランス神父の写真入りで大きく報じた。
一方、バチカンのニュースメディアであるゼニット通信は4月8日、「シリアのオランダ人神父殺害に世界が反応 平和の人として追悼されるフランス・ファン・デル・ルフト神父」という見出しの記事をウェブサイトに掲載した。
フランス神父はシリアのキリスト教徒とイスラム教徒の両方に対して避難所を提供した。同神父と親交があった、インド出身でエジプト中部のミニヤー県で学校を営むビマル・ケルケッタ神父は、8日付のアジア・ニュースに対して証言し、「フランス神父の死は、平和を愛するイスラム教徒とキリスト教徒にとって深刻な打撃だ」などと述べた。
アルジャジーラ米国版もまた、米国時間の7日、「戦禍を受け、殺害されたホムスの神父を哀悼するシリア人たち」という見出しの記事で、同神父は「キリスト教徒だけでなく多くの人々の人生にふれた」と報じた。
フランス神父が殺されたというニュースは、同神父の出身国であるオランダのメディアでも報じられた。