ナイジェリア聖公会は20日、同性愛を支持する米国、カナダの両聖公会から「非協力的」と非難されていることに抗議するため、来年予定されている聖公会の最高会議であるランベス会議への参加を拒否する考えを発表した。同性愛の問題を巡っては、米国の自由主義派とアフリカ、アジア、南米を中心とする保守派の間で10年以上に渡って論争が続いてきた。英国クリスチャントゥデイが21日、報じた。
10年に1度、英国・ロンドンのランベスで行われる同会議は各国の聖公会から800人以上の主教が参加する、聖公会最大規模の会議。ナイジェリア聖公会による今回の発表により、同会議の開催を前に聖公会内部での分裂状態がより鮮明になった。
アフリカのタンザニアで2月に開かれた各国聖公会指導者の会合では、保守派の主教らから米国、カナダ両国の聖公会に対して、9月までに同性愛聖職者の叙任及び、同性カップルの結合祝福を撤回するように要求が出されていた。これに対して米聖公会は6月の声明で、09年に開かれる次回会合まで、以前からの姿勢を変更できないとして、要求に応じない構えを示している。
保守派の指導的立場にあるナイジェリア聖公会のピーター・アキノラ大主教は、聖公会の共同体一致への希望は「これまで通り暗い」と語っている。一方、ヨーク大主教を含む聖公会の指導者ら数人は今回の発表に対して、ランベス会議へ出席しなければ、自らを聖公会共同体から追い出すことになると保守派に対して警告している。
同性愛の問題は、米国聖公会が03年、離婚経験があり、公然同性愛者であるジーン・ロビンソン司祭をニューハンプシャー教区の主教に叙任したことが発端となり激化。米聖公会では昨年12月にバージニア州の11教会が、同聖公会の自由化傾向に反発する形で離脱。これに対して、アキノラ大主教は5月、離脱を決めた際の指導者であったマーティン・ミンズ司祭を主教に任命している。また、ケニヤ、ウガンダの両国大主教は近いうちに、同じく米聖公会を離脱し、同性愛に反対する司祭3人を主教に叙任する計画である。
アフリカの主教らは、聖公会から離れようとする米国の教会、各信徒を救いたいと語る一方、米国の自由主義派の人々はアフリカが米国国内で教会で決められた規則に違反したことを行っていると主張している。
聖公会の最高指導者であるローワン・ウィリアムズ・カンタベリー大主教は、深刻な分裂を避けようと必死の努力をしており、アフリカの大主教らにこれらの叙任を辞めるよう求めている。また、ロビンソン主教、ミンズ主教のランベス会議への招待に関してカンタベリー大主教は、「その任命、行動、生活のスタイルといったものが、例外的に重大な分裂やスキャンダルを共同体内に引き起こした主教には招待を留保するか、撤回する権限を私は持っている」として、両主教へ招待状を送らないことを明らかにしている。
1750万人の信徒を抱えるナイジェリア聖公会は、2600万人の信徒をもつ英国聖公会に継いで2番目に大きな規模。しかし、礼拝出席者数は英国よりも多く、成長は現在も続いている。一方、米国聖公会は信徒数が240万人と、世界に7700万人いる聖公会全体の信徒数に比べれば全体の3%を占めるに過ぎない小数派。しかし、国外伝道、経済的支援などに力を入れており、その影響力は大きい。経費負担の面でも、米聖公会は聖公会全体の3分の1以上を拠出している。