聖書翻訳者、ケネス・N・テイラー氏が10日(現地時間)、イリノイ州ウィートンの自宅で死去した。88歳だった。同氏の翻訳した「リビングバイブル」は4千万部を売り上げ、世界各国で愛読されている。
米誌「クリスチャニティトゥデイ」が16日(同)報じた。
1950年に「Christian Booksellers Association 」と文書伝道団体「Evangelical Literature Overseas and Short Terms Abroad」を設立。また聖書翻訳団体「Tyndale House Publishers」を発足させ'71年、リビングバイブルを発表した。
それまで使用されていた聖書は「キング・ジェームス訳」で、日本では文語訳に相当する。自分の子供にも読めて心に響く聖書を、と翻訳したテイラー氏のリビングバイブルは、「毎日読みたくなる聖書」(米・聖書出版社大手「ゾンダーバン」副社長)と評され、婦人や子供を通じて聖書が一般家庭に普及するきっかけとなった。
日常語に訳された聖書は、当時のキリスト教界にとっても大きな衝撃だった。印刷会社の多くが「このような聖書は売れるわけがない」と拒否するなか、リトカラー・プレス社から「費用は出世払いで」と申し出があり、出版にこぎつけた。
伝道家ビリー・グラハムがテレビ伝道番組でリビングバイブル訳を使用すると、リビングバイブルは発売と同時に全米の書店でベストセラーとなり、3年間売り上げランキング第1位を記録した。