アフリカの角に位置するのがエチオピアだ。キリスト教徒が人口の約6割を占めるこの国が、キリスト教迫害国ランキングであるオープンドアーズの「ワールド・ウォッチ・リスト」において36位にランクしている事実は、外部の目には奇妙に映るかもしれない。
しかし2026年現在、国際救済委員会(IRC)が「世界で最も人道危機のリスクが高い国トップ5」の一つに挙げている。この国において、キリスト教徒を取り巻く環境は極めて複雑かつ危険な状態に陥っているのだ。
エチオピアにおける迫害の構造は一様ではなく、地域や歴史的背景によって大きく異なる。
まず第一に、エチオピア正教会(EOC)の強硬派による「宗教的保護主義」からの圧力である。歴史的に国家と深く結び付いてきた正教会の中には、プロテスタントや福音派の信者を「エチオピアのアイデンティティーを脅かす外国の侵入者」であると見なし、激しく排斥する動きがある。特にアムハラ州やティグレ州などの北部において、正教会から福音派に改宗した人々は、結婚や教会の登録を阻まれ、激しい社会的差別に直面している。
第二の脅威は、イスラム教徒が多数を占める東部や南東部(ソマリ州やオロミア州の一部など)におけるイスラム過激主義からの迫害である。これらの地域でイスラム教からキリスト教へ改宗した者(MBB)は、家族から拒絶され、生計手段を奪われ、時には暴徒による教会の放火や物理的な攻撃の標的となる。
さらに近年、この「二重の迫害」に拍車をかけているのが、国内の絶え間ない武力衝突と治安の崩壊である。ティグレ州やオロミア州などでの紛争により「法の支配」が機能不全に陥った地域では、武装グループがキリスト教徒を誘拐し、教会を標的にした攻撃を繰り返している。
VOM(Voice of the Martyrs)の調査によれば、周辺の建物が無傷であるにもかかわらず教会だけがターゲットとして爆破されるという、「戦争」というよりも「明確な宗教迫害」と呼ぶべき事件が今年2月に相次いで発生している。
歴史的な正教会からの圧力、イスラム過激主義、そして内戦の影。これら三方からの圧力が複雑に絡み合い、エチオピアの福音派教会は今、国家の保護が及ばない「無法地帯」でかつてない試練にさらされているのだ。
私たちは四方八方から苦しめられますが、窮することはありません。途方に暮れますが、行き詰まることはありません。迫害されますが、見捨てられることはありません。倒されますが、滅びません。私たちは、いつもイエスの死を身に帯びています。それはまた、イエスのいのちが私たちの身に現れるためです。(Ⅱコリント4:8〜10)
彼らが異なる方面からさまざまな圧力にさらされているのは、彼らにおいてキリストの命がはっきりと現れるためなのだろう。
激動の中にあるエチオピアの教会のために祈ろう。正教会からの改宗者やイスラム教からの改宗者など、あらゆる方向からの圧力に耐えている兄弟姉妹に、主の強力な守りと平安が与えられるように。紛争地帯において、武装グループによる誘拐や暴力の標的となっている信者たちや指導者が守られ、彼らの上に神の盾が置かれるように。
そして、同じキリスト教と間での分断と憎しみが渦巻くエチオピア社会において、真の平和の君であるキリストの福音が、民族や宗派の壁を越えた真の和解をもたらす力となるよう祈っていただきたい。
■ エチオピアの宗教人口
プロテスタント 19・2%
正教会 39・5%
カトリック 0・7%
イスラム 34・1%
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